PIの切削加工 | 真空環境に最適な低アウトガス特性と選定ポイント
最終更新日:2026/6/18
本記事の要点
PI(ポリイミド)は最高300℃の連続使用と極低温環境に対応し、優れた機械的強度を維持する非熱可塑性のスーパーエンジニアリングプラスチック
低アウトガス性や高い寸法安定性を備えており、半導体製造装置や航空宇宙部品、過酷な高温下での摺動部品に幅広く採用されている
部品設計や切削加工の依頼時には、吸水性による寸法変化のリスクや、流通している材料の規格サイズが少ない点に注意が必要
PIの特徴
PI(ポリイミド)は、高い耐熱性を持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。PEEKやPPSと異なり、非熱可塑性であり、熱により溶融しません。そのため高温下でも高い機械的強度を維持します。連続使用温度は300℃であり、瞬間的には400℃までの耐熱性があります。極低温下での使用も可能で、マイナス270℃までの耐寒性があります。また、線膨張係数が低く、温度変化に対する寸法安定性に優れています。摺動性と耐摩耗性にも優れ、高熱箇所の長期間の摺動部品としても利用されます。高純度・低アウトガス性であり、半導体製造装置や真空装置、航空宇宙部品に利用されています。
優れた機械的強度と耐摩耗性
優れた耐熱性
非熱可塑性樹脂
絶縁性
極低温下で使用可
温度変化に対する寸法安定性に優れる
高純度、低アウトガス性
PIの種類
PIは、標準グレードの他に各種性能を強化・付加したグレードがあります。
標準グレード
帯電防止グレード
グラファイト配合グレード
PTFE配合グレード
二硫化モリブデン配合グレード
PI(ポリイミド)の材質選定・加工上の注意点
非常にハイスペックで万能に見えるPIですが、実際の部品設計や切削加工の依頼時には以下の点に注意して設計を行う必要があります。
吸水性による寸法・特性の変化
PIは吸水性を持つ樹脂材質です。湿度が高い環境や水分に直接触れる環境で使用すると、吸水によって寸法が変化(膨張)したり、機械的特性が変動するリスクがあります。公差の厳しい精密部品を設計する際は、使用環境の湿度を考慮した上で、事前のベーキング(乾燥)処理や適切なクリアランス設計を行う必要があります。
規格サイズが少なく材料調達に制約がある
汎用的なエンジニアリングプラスチックと比較して、流通している丸棒や板材の規格サイズ(寸法バリエーション)が少ないのが難点です。そのため、希望する大きなサイズのブロック材が手に入らない場合や、必要なサイズに対して加工時の歩留まりが悪化してしまうケースがあります。設計段階から、入手可能な材料サイズを把握した上で形状・分割構造を検討することが、コストダウンの重要な鍵となります。
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