SUS304とSUS430の違いとは?
2025/12/22
SUS304とSUS430はともに優れた性質を持ち、ステンレス加工において使用頻度の高い材質です。この記事ではSUS304とSUS430の違いについて解説します。
SUS304の特徴
SUS304は、クロム(Cr)を約18%、ニッケル(Ni)を約8%含むオーステナイト系ステンレス鋼です。この組成により、優れた耐食性と耐熱性、および加工性を備えています。特に、高温での酸化への耐性が高く、耐熱鋼としても使用されます。
また、溶接性にも優れており、複雑な形状の部品にも加工が可能です。非磁性であることも特徴の一つで、磁性を嫌う用途にも適しています。さらに、オーステナイト系ステンレス鋼の特徴として、低温での靭性が高く、低温環境下でも安定した強度を維持します。これらの特性から、SUS304はさまざまな産業分野で広く採用されています。
SUS430の特徴
SUS430は、クロム(Cr)を約16~18%含むフェライト系ステンレス鋼です。主な特徴として、磁性を持つことが挙げられます。レアメタルであるニッケルを含まないため、SUS304に比べて安価に入手できます。しかし、耐食性はSUS304に比べてやや劣り、特に塩化物環境下では錆びやすい傾向があります。加工性は比較的良好ですが、溶接性はSUS304に比べると劣る点があります。これらの特性を踏まえ、コストを重視し、比較的腐食のリスクが少ない環境での使用に適しています。
SUS304とSUS430の違い
SUS304とSUS430の物性を比較すると、強度、耐熱性、磁性などに違いが見られます。SUS304は、引張強度と降伏点がSUS430よりも高く、より高い強度が必要な用途に適しています。耐熱性については、SUS304は高温でも強度を維持できますが、SUS430は高温になると強度が低下する傾向があります。磁性に関しては、SUS304は非磁性であるのに対し、SUS430は磁性を持つため、磁気を利用する用途や磁気を避けたい用途で使い分ける必要があります。また、熱膨張率では、SUS430の方が小さく、熱による寸法変化が少ないという特徴があります。
耐食性の違い(SUS304の方が高い)
耐熱性の違い(SUS304の方が高い)
価格の違い(SUS304の方が高い)
磁性の違い(SUS304は磁性なし。SUS430は磁性あり)
熱膨張率の違い(SUS430の方が小さい)
性質 | 密度(g/cm³) | 熱伝導率((100℃)W/m・K) | 熱膨張係数(0~100℃)×10⁶ | 比電気抵抗(常温)μΩ・cm |
|---|---|---|---|---|
SUS304 | 7.93 | 16.3 | 17.3 | 72 |
SUS430 | 7.75 | 25.6 | 10.4 | 60 |
強度 | 耐力 (N/m㎡) | 引張強度 (N/m㎡) | HB | HRB | HV | 伸び(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
SUS304 | 205以上 | 520以上 | 40以上 | 90以下 | 200以下 | 40以上 |
SUS430 | 205以上 | 450以上 | 22以上 | - | 200以下 | 22以上 |
耐食性の違い
SUS304は、その化学組成により、非常に優れた耐食性を示します。酸性やアルカリ性の環境、湿度の高い場所でも錆びにくく、幅広い環境で使用できます。一方、SUS430は、クロム含有量がSUS304より少ないため、耐食性はやや劣ります。特に、塩化物イオンが存在する環境下では、錆びが発生しやすい傾向があります。このため、沿岸地域や海水に触れる可能性のある場所での使用は、注意が必要です。
したがって、耐食性が重要な要素となる場合には、SUS304を選択することが推奨されます。ただし、SUS430も適切な環境下で使用すれば、十分な耐食性を発揮することができます。
価格の違い
SUS430は、ニッケルを含まないため、SUS304に比べて一般的に安価です。ニッケルは価格変動が大きいため、SUS304の価格は市場の動向に影響を受けやすいです。一方で、SUS430はニッケルを含まないため、価格が安定しており、コストを重視する場合に有利です。そのため、大量に使用する場合や、コストを抑えたい場合には、SUS430が選ばれることが多いです。
ただし、価格だけで材料を選択するのではなく、必要な性能や耐久性を考慮することが重要です。長期的なコストパフォーマンスを考慮すると、SUS304が最適な場合もあります。
磁性の違い
SUS304はオーステナイト系ステンレス鋼であり、一般的に非磁性です。つまり、磁石に吸い付くことはありません。一方、SUS430はフェライト系ステンレス鋼であり、磁性を持っています。そのため、磁石に吸い付きます。この磁性の有無は、用途によっては重要な選択基準となります。
まとめ
SUS304とSUS430は、どちらも優れた特性を持つステンレス鋼ですが、それぞれ異なる特徴を持っています。SUS304は、優れた耐食性と加工性を持ち、幅広い用途で使用されています。一方、SUS430は、安価で磁性を持つため、コストを重視する用途に適しています。これらの特性を理解し、使用環境やコストを考慮して、最適な材質を選ぶことが重要です。
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