ステンレス鋼の種類とそれらの特徴を解説
2025/12/22
ステンレス鋼は、多くの種類があります。耐食性が高いという共通点の上に、その程度の差や硬度などの差があります。SUS303やSUS316LのようにSUSの後ろの英数字によって区別されています。この記事ではステンレス鋼の種類と大まかな特徴について解説します。
ステンレス鋼の種類
ステンレス鋼は、その金属組織の違いによって、大きく分けて5つの系統に分類できます。
オーステナイト系ステンレス鋼
フェライト系ステンレス鋼
マルテンサイト系ステンレス鋼
二相系(オーステナイト・フェライト系)ステンレス鋼
析出硬化系ステンレス鋼
オーステナイト系は、最も一般的で、優れた耐食性と加工性を持ちます。フェライト系は、応力腐食割れへの耐性を強化したステンレス鋼です。マルテンサイト系は、炭素量が多いステンレス鋼で、熱処理によって硬度を上げて使うことを目的としたステンレス鋼です。二相系(オーステナイト・フェライト系)は、強度と耐食性を兼ね備え、過酷な環境下で使用されることが多いです。
オーステナイト系ステンレス鋼
オーステナイト系ステンレス鋼は、耐食性と加工性に優れた系統で、最も広く利用されています。金属加工において使用頻度の高いSUS303とSUS304が代表的な鋼種であり、多くの用途で使用されます。SUS304にモリブデンを加えたSUS316は、特に海水や酸性の環境下での使用に適しています。これらのオーステナイト系ステンレス鋼は、延性と靭性に優れているため、プレスなどの冷間加工に適しています。
切削加工中に、加工箇所の金属組織がオーステナイトからマルテンサイトに変化して、極端に硬くなることがあります。基本的に磁性を持たない金属ですが、この組織構造の変化によって一部磁性を持つことがあります。
代表的なオーステナイト系ステンレス鋼
SUS303
SUS304
SUS316
フェライト系ステンレス鋼
フェライト系ステンレス鋼は、クロム、モリブデン、銅などを添加して耐食性を強化した系統です。オーステナイト系よりも耐食性の面で劣りますが、ニッケルを含まない分こちらの方が低コストで、応力腐食割れがほとんど発生しない特徴があります。475℃前後の温度帯で一定時間が経過すると、急激に脆化します。磁性を持つ金属材質です。
極低炭素の高純度フェライト系であるSUS444は耐食性が大幅に強化されたステンレス鋼で、塩化物イオンの環境下での応力腐食割れに強い材質です。
代表的なフェライト系ステンレス鋼
SUS430
SUS444
マルテンサイト系ステンレス鋼
マルテンサイト系ステンレス鋼は、炭素の量が多く、熱処理により高い硬度と耐摩耗性が得られる材質です。軸受やベアリングなどの部品に使用されます。不動態皮膜を形成するために必要なクロムの含有量が少なく、耐食性は他の系統よりも劣ります。磁性を持つ金属材質です。
代表的なマルテンサイト系ステンレス鋼
SUS403
SUS410
SUS440
二相系(オーステナイト・フェライト系)ステンレス鋼
二相系ステンレス鋼は、オーステナイト組織とフェライト組織の両方を併せ持つステンレス鋼です。この独特な組織構造により、強度と耐食性を高いレベルで両立できるという大きなメリットがあります。二相系ステンレス鋼は、特に高強度と高耐食性が求められる過酷な環境下での使用に適しており、例えば、化学プラントや海洋構造物、石油・ガスプラントなどで広く使用されています。また、応力腐食割れにも強いという特徴があります。
代表的な二相系ステンレス鋼
SUS329J1
SUS327L1
SUS323L
析出硬化系ステンレス鋼
析出硬化系ステンレス鋼は、金属間化合物の析出を利用して、熱処理によって硬度を高められるようにしたオーステナイト系ステンレス鋼ベースの金属です。硬度と耐食性のバランスに優れています。
代表的な析出硬化系ステンレス鋼
SUS630
SUS631
まとめ
ステンレス鋼にはさまざまな種類があり、主に硬度と耐食性が異なります。硬度と耐食性は反比例するようになっており、用途に応じて硬度を取るか、耐食性を取るかの選択ができるようになっています。硬度と耐食性は一般的に下記の順に優れています。
硬度
析出硬化系>マルテンサイト系>二相系>フェライト系>オーステナイト系
耐食性
オーステナイト系>二相系>フェライト系>析出硬化系>マルテンサイト系
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