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ステンレス鋼(SUS)の種類と特徴

ステンレス鋼(SUS)の種類と特徴

最終更新日:2026/9/3

本記事の要点

  1. ステンレス鋼は金属組織によって5系統に分類され、それぞれ強度、耐食性、加工性、磁性などの特徴が異なるため、用途に応じた選定が重要である。

  2. オーステナイト系は耐食性・加工性、マルテンサイト系は硬度・耐摩耗性、フェライト系は耐応力腐食割れ性、二相系は強度・耐食性、析出硬化系は強度と耐食性のバランスに優れる。

  3. SUS303、SUS304、SUS316など代表鋼種ごとの特性を理解し、使用環境や必要な強度、耐食性、加工方法を考慮して適切なステンレス鋼を選定することが重要である。


ステンレス鋼は、多くの種類があります。耐食性が高いという共通点の上に、その程度の差や硬度などの差があります。SUS303やSUS316LのようにSUSの後ろの英数字によって区別されています。この記事ではステンレス鋼の種類と大まかな特徴について解説します。

ステンレス鋼の種類

ステンレス鋼は、その金属組織の違いによって、大きく分けて5つの系統に分類できます。

  • オーステナイト系ステンレス鋼

  • フェライト系ステンレス鋼

  • マルテンサイト系ステンレス鋼

  • 二相系(オーステナイト・フェライト系)ステンレス鋼

  • 析出硬化系ステンレス鋼

オーステナイト系は、最も一般的で、優れた耐食性と加工性を持ちます。フェライト系は、ニッケルをほとんど含まず、耐応力腐食割れ性や耐食性に優れるステンレス鋼です。マルテンサイト系は、炭素量が多いステンレス鋼で、熱処理によって硬度を上げて使うことを目的としたステンレス鋼です。二相系(オーステナイト・フェライト系)は、強度と耐食性を兼ね備え、過酷な環境下で使用されることが多いです。

オーステナイト系ステンレス鋼

オーステナイト系ステンレス鋼は、耐食性と加工性に優れた系統で、最も広く利用されています。金属加工において使用頻度の高いSUS303とSUS304が代表的な鋼種であり、多くの用途で使用されます。SUS304にモリブデンを加えたSUS316は、特に海水や酸性の環境下での使用に適しています。また、延性と靭性に優れているため、プレスなどの冷間加工に適しています。

切削などの加工箇所がオーステナイト組織からマルテンサイト組織に変化する「加工誘起マルテンサイト」により、極端な加工硬化が起こります。また、この変化が耐食性を低下させ、磁性を持たせる要因にもなります。600〜900℃の環境下で長時間経過すると耐食性の低下や脆化、塩化物環境では孔食や応力腐食割れが発生するリスクが高まります。

代表的なオーステナイト系ステンレス鋼

  • SUS303

  • SUS304

  • SUS316

フェライト系ステンレス鋼

フェライト系ステンレス鋼は、クロム、モリブデン、銅などを添加して耐食性を強化した系統です。オーステナイト系よりも耐食性の面で劣りますが、ニッケルを含まない分こちらの方が低コストで、応力腐食割れがほとんど発生しない特徴があります。475℃前後の温度域に長時間さらされると、脆化が生じることがあります。磁性を持つ金属材質です。

極低炭素の高純度フェライト系であるSUS444は耐食性が大幅に強化されたステンレス鋼で、塩化物イオンの環境下での応力腐食割れに強い材質です。

代表的なフェライト系ステンレス鋼

  • SUS430

  • SUS444

マルテンサイト系ステンレス鋼

マルテンサイト系ステンレス鋼は、炭素の量が多く、熱処理により高い硬度と耐摩耗性が得られる材質です。軸受やベアリングなどの部品に使用されます。不動態皮膜を形成するために必要なクロムの含有量が少なく、耐食性は他の系統よりも劣ります。磁性を持つ金属材質です。

代表的なマルテンサイト系ステンレス鋼

  • SUS403

  • SUS410

  • SUS440

二相系(オーステナイト・フェライト系)ステンレス鋼

二相系ステンレス鋼は、オーステナイト組織とフェライト組織の両方を併せ持つステンレス鋼です。この独特な組織構造により、強度と耐食性を高いレベルで両立できるという大きなメリットがあります。二相系ステンレス鋼は、特に高強度と高耐食性が求められる過酷な環境下での使用に適しており、例えば、化学プラントや海洋構造物、石油・ガスプラントなどで広く使用されています。また、応力腐食割れにも強いという特徴があります。

代表的な二相系ステンレス鋼

  • SUS329J1

  • SUS327L1

  • SUS323L

析出硬化系ステンレス鋼

析出硬化処理(熱処理)によって強度を高めたハイグレードなステンレス鋼です。焼入れ・焼戻しをしたマルテンサイト系と同レベルの強度を持ちながら、耐食性もフェライト系・マルテンサイト系より優れるという「強度と耐食性の極めて高いバランス」を実現しています。エンジン部品や航空機・ロケットの構造材などに用いられます。

代表的な析出硬化系ステンレス鋼

  • SUS630

  • SUS631

各種ステンレス鋼 比較表

種類

代表鋼種

強度

耐食性

磁性

主な用途

マルテンサイト系

SUS403、410、440

極めて高い

劣る

あり

軸受け、ベアリング

フェライト系

SUS430、444

低い

良好

あり

建築材料、家電

オーステナイト系

SUS303、304、316

中程度

高い

なし※

自動車部品

二相系(オーステナイト・フェライト系)

SUS329J3L、329J4L

高い

非常に高い

あり

化学プラント、海水設備、石油・ガス設備

析出硬化系

SUS630、660

極めて高い

高い

あり

航空・エンジン部品

※強度・耐食性は鋼種や熱処理、使用環境などによって異なるため、各系統における代表的な傾向を示したものです。


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ステンレス鋼の種類と特徴

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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