樹脂加工とは?切削と3Dプリントの対応材質を紹介
2025/12/24
樹脂加工の特徴
樹脂加工は、PEEKやPPS、POMなどの樹脂材質をさまざまな形状に加工する加工技術の総称です。身の回りで使用される製品や、その製品を生産するための加工機械を構成する部品など、多くのものが樹脂加工によって製作されています。軽量で優れた耐熱性と強度を持つエンジニアリングプラスチックの台頭で、より多くの場面で利用されるようになりました。
材質全般が軽量
材質の種類が多い
材料費が比較的安価
加工しやすい
樹脂加工の注意点
樹脂は熱膨張係数が比較的高い材質です。加工中の熱や外気温により寸法変化が起こる可能性があり、適切な温度管理が必要です。また、吸水・吸湿による寸法変化が起こることもあります。不適切な薬品への接触で、クラックが発生することがあるため、薬品を使う環境を想定している場合は、メーカーが公開している耐薬品リストの確認が推奨されます。
吸水吸湿する
温度による膨張と収縮が起こる
薬品に反応してクラックを起こす
主な樹脂加工の対応材質
PEEK
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は樹脂材質の中でも最高レベルの耐熱性と機械的強度を持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。寸法安定性・耐薬品性・耐摩耗性の物性も高水準で、難燃性で燃えにくく、燃焼時の有毒ガスの発生量も非常に少ない材質です。さらに、耐熱水性が樹脂材質の中で極めて高く、200~250℃のスチーム中での連続使用が可能です。
PPS
PPS(ポリフェニレンサルファイド)は、樹脂材質の中でも耐熱性と機械的強度に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックです。寸法安定性・耐薬品性・耐摩耗性の物性も高水準とPEEKに次ぐ性能でありながら、同サイズの材料の価格は4分の1から2分の1程度です。吸水性が極めて低く、23℃浸漬24時間での吸水率は0.02%です。また、難燃性で燃えにくく、燃焼時のガス発生量も非常に少ない材質です。さらに、耐候性にも優れ、屋外使用による劣化が進みにくい材質です。
PEI
PEI(ポリエーテルイミド)は、高い耐熱性(連続使用温度170℃)を持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。PEEKを超える引張強度があり、幅広い温度域で高いクリープ耐性を発揮します。高温下の劣化が非常に少ない特性があります。また、非常に優れた耐加水分解性があり、繰り返しの蒸気減菌に対応できます。さらに、吸水率・線膨張係数が低く、寸法安定性に優れています。難燃性で燃えにくく、燃焼時のガス発生量も少ない材質です。
PTFE
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、摺動性・耐摩耗性の高さが特徴的なスーパーエンジニアリングプラスチックです。滑らかな表面は摩擦係数が非常に低く、摺動部品として高い性能を発揮します。連続使用温度が260℃と耐熱性に優れ、マイナス250℃までの低温下でも強度を維持します。また、酸素と結合しにくい分子構造でありUL94規格ではV-0と難燃性の材質です。撥水性に優れ、吸水率は0.00%と、吸水しない樹脂材質です。
PI
PI(ポリイミド)は、高い耐熱性を持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。PEEKやPPSと異なり、非熱可塑性であり、熱により溶融しません。そのため高温下でも高い機械的強度を維持します。連続使用温度は300℃であり、瞬間的には400℃までの耐熱性があります。極低温下での使用も可能で、マイナス270℃までの耐寒性があります。
PBI
PBI(ポリベンゾイミダゾール)は、樹脂材質の中で最高レベルの耐熱性を持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。連続使用温度は345℃で線膨張係数が低く、熱による寸法安定性に優れています。優れた強度と耐熱性から、金属材質の代替としても候補に挙がります。また、耐摩耗性にも優れ、高熱箇所の摺動部品としても利用されます。さらに、難燃性であり、UL94規格でV-0です。酸・アルカリ、有機溶剤に対して強い耐性があります。また、良好なプラズマ耐性があります。
PAI
PAI(ポリアミドイミド)は、熱可塑性樹脂の中で最高レベルの性能を持つ非結晶性のスーパーエンジニアリングプラスチックです。非常に優れた引張強度と圧縮強度、耐摩耗性、耐衝撃性を250℃の高温まで発揮します。荷重たわみ温度とガラス転移点も250℃を超える水準であり、高温・高負荷環境において高い強度を維持します。また、耐薬品性も優れており、ほとんどの有機・無機化学薬品に対しての耐性があります。さらに、アルミニウムやステンレス鋼などの金属材質と同程度の低膨張係数による寸法安定性により、軽量化を目的とした金属代替材として使用されます。
POM
POM(ポリオキシメチレン)は、機械的強度と耐摩耗性、耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックです。快削でバリが発生しにくく、発生しても簡単に除去できるため、精密部品の製作に適しています。また、吸水率が低く、吸水・吸湿による寸法の変化が起こりにくいこともPOMが選ばれる理由です。総じて性能に対してコストが低く、汎用的な材質として樹脂切削加工の中心的な存在です。
MCナイロン
MCナイロンは、機械的強度と耐熱性、摺動性に優れたエンジニアリングプラスチックです。有機溶剤に対する耐薬品性に優れています。POM同様、他の物性も平均以上の数値で、かつ低コストであるため、使い勝手の良い樹脂材質です。標準グレードは青色で、材料の上下面には製造工程で縞模様が付いています。総じて性能に対して低コストで、樹脂切削加工の中心的な材質です。
ポリカーボネート
PC(ポリカーボネート)は、樹脂材質の中で最高レベルの耐衝撃性を誇るエンジニアリングプラスチックです。光透過性が高く、カメラのレンズや保護カバーに利用されます。透過性はアクリルの方が高いですが、耐衝撃性はポリカーボネートの方が圧倒的に高く、耐久性が求められる場面で選定されます。また、耐候性にも優れており、屋外での劣化が少ない特徴があります。耐熱性が高く、連続使用温度は120℃です。
ベークライト
ベークライトは熱硬化性樹脂に分類される、フェノール樹脂の一種です。縮合重合によってできる立体網目構造(架橋高分子結合)の強固な分子構造が分子の熱運動を制限し、高い機械的強度と耐熱性を実現しています。紙や布を基材とした積層板として流通しており、安価で優れた特徴を持つことから使いやすく、汎用的な材質としてさまざまな場面で利用されています。ベークライトは主に下記の特徴を持つ材質です。
エポキシガラス
エポキシガラスは、エポキシ樹脂とガラス繊維を組み合わせた複合素材です。エポキシ樹脂は、硬化すると非常に硬く、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れた特性を持つ有機材料です。一方、ガラス繊維は、ガラスを細い糸状に加工したもので、軽量でありながら高い強度と剛性を持ちます。
PEKK
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は樹脂材質の中でも最高レベルの耐熱性と機械的強度を持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。寸法安定性・耐薬品性・耐摩耗性の物性も高水準で、難燃性で燃えにくく、燃焼時の有毒ガスの発生量も非常に少ない材質です。さらに、耐熱水性が樹脂材質の中で極めて高く、200~250℃のスチーム中での連続使用が可能です。
ULTEM
ULTEM(ウルテム)は、米国のゼネラル・エレクトリック社が開発したPEI(ポリエーテルイミド)の製品名です。高い耐熱性を持つスーパーエンジニアリングプラスチックで、機械的強度や耐薬品性に優れています。優れた耐加水分解性があり、繰り返しの蒸気減菌に対応できます。
Onyx
Onyx(オニキス)は、ナイロンに軽量で強度の高い炭素繊維を充填した、Markforged社の3Dプリント用材料です。ナイロンの靭性と、炭素の剛性・耐衝撃性を持った機械的強度に優れた材質です。ファイバーを充填しながら造形することで、さらに強度や耐熱性を高めることができます。炭素繊維により多少の導電性があります。
PC-ABS
PC-ABS(ポリカーボネートABS)は、ポリカーボネートとABSの優れた特徴を兼ね備えたエンジニアリングプラスチックです。ポリカーボネートの優れた耐衝撃性、耐熱性と、ABSの優れた曲げ強度を持ちます。機能試作から製品部品に使用可能です。
エポキシ
エポキシ樹脂は、光(熱)硬化性のエンジニアリングプラスチックです。優れた耐薬品性と機械的強度の材質です。透明~白色のカラーバリエーションがあり、透明のエポキシ樹脂は後加工で透明度を向上させることができます。
樹脂加工の材質選定のご相談はお任せください
湯本電機では金属と樹脂の200種類以上の材質の加工実績があります。豊富な加工経験を活かした材質選定のお手伝いをします。ご相談は無料なのでお気軽にお問い合わせください。


