UHMW-PEの切削加工 | 特性と設計のためのメリット・デメリット
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本記事の要点
UHMW-PEは、フッ素樹脂(PTFE)に次ぐ優れた滑り特性と、ポリカーボネートを凌ぐ圧倒的な耐衝撃性を併せ持つエンジニアリングプラスチックである。
連続使用温度は80℃と低く、線膨張係数が大きいため、温度変化の激しい環境や、厳密な寸法精度が求められる精密部品には不向きである。
切削加工において細かなバリが発生しやすく除去が困難なため、小径の交差穴や内部流路を避けるなど、加工リスクを考慮した部品設計が必要となる。
UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)とは
UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)は、摺動性・耐摩耗性・耐衝撃性に優れた熱可塑性のエンジニアリングプラスチックです。一般的なPE(ポリエチレン)の分子量が20万~30万であるのに対し、UHMW-PEは100万~700万まで高分子量化されています。
非常に長い分子鎖を持ち、これらが絡み合うことで優れた耐摩耗性や低摩擦性、耐衝撃性を発揮します。また、耐薬品性や低吸水性にも優れており、湿潤環境や薬品を扱う設備にも使用されています。
UHMW-PEの基本物性・特性
比重 | 耐熱温度 | 電気特性 | 寸法安定性 | 耐摩耗性 | 耐衝撃性 | すべり特性 |
|---|---|---|---|---|---|---|
0.94 | 約80℃ | 絶縁 | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
単位 | 試験法 | 値 | |
|---|---|---|---|
引張強さ | Mpa | D638 | 38 |
破断時伸び | % | D638 | 420-530 |
衝撃強さ(アイゾット ノッチ付) | J/m | D256 | 破壊せず |
硬度(ロックウェル) | D785 | R50 | |
線膨張率 | x10-5/℃ | D696 | 13 |
体積抵抗率 | Ω·cm | D257 | >10^16 |
絶縁破壊強さ | KV/mm | D149 | 28 |
※上記の数値・評価は代表的なグレードにおける目安であり、製品やグレード、使用環境によって異なります。材料選定の際は、メーカーの最新仕様をご確認ください。
UHMW-PEの特徴とメリット
優れた摺動性と耐摩耗性
UHMW-PEは優れた自己潤滑性を持ち、PTFEに次ぐ高い滑り特性を誇ります。PTFEと比較して材料価格がリーズナブルであるため、食品機械のガイドレールなど、高い耐摩耗性が求められる箇所に多く使用されています。
優れた耐衝撃性
分子量が非常に大きいという特性から、樹脂材料の中でも特に優れた耐衝撃性を持っています。繰り返し衝撃が加わる用途にも適しています。また、低温環境でも耐衝撃性を維持しやすいため、冷凍・低温設備などで使用される部品にも採用されています。搬送設備のガイドやライナー、ホッパーなど、落下物や衝突による衝撃が想定される部品に適しています。
優れた耐薬品性
化学的に非常に安定した材料であり、酸やアルカリ、有機溶剤など多くの薬品に対して優れた耐性を持っています。化学薬品を扱う設備や、腐食性のある環境で使用される部品にも適しています。
吸水性が低い
吸水性が非常に低いため、吸水による膨張や物性変化が起こりにくく、湿度の影響を受けやすい環境でも比較的安定した性能、寸法を維持できます。水や湿気にさらされる搬送設備、食品関連設備、屋外設備などにも使用しやすい特性です。
軽量
比重が約0.93~0.97と低く、金属材料と比較して大幅に軽量化できます。部品を樹脂化することで、装置や搬送設備などの軽量化につなげられる点がメリットです。また、軽量でありながら優れた耐摩耗性や耐衝撃性を備えているため、質量を抑えながら耐久性を確保したい部品に適しています。
UHMW-PE材質選定上の注意点
耐熱性が低い
UHMW-PEの連続使用温度はおおむね80℃前後が目安で、高温環境では荷重による軟化や強度低下が起こりやすくなります。高温で使用する摺動部品などには、PTFEやPVDFなどの検討が必要です。
接着加工に向かない
接着剤が表面になじみにくいため、一般的な接着剤による接着加工には向いていません。接着強度を確保するには、表面を粗化する、プラズマ処理などで表面改質を行うといった前処理が必要になる場合があります。ボルト締結や溶着など、他の固定方法を検討したほうが確実な場合があります。
膨張係数が大きい
熱膨張係数が比較的大きく、温度変化による寸法変化が生じやすい材料です。特に精密部品では、加工時と使用時の温度差によって寸法が変化し、組み付けやクリアランスに影響する可能性があります。また、切削加工時に発生する熱によっても寸法が変化するため、高い寸法精度が求められる部品には注意が必要です。
耐候性が低い
紫外線に長期間さらされると、分子鎖の劣化によって表面の変色や脆化、機械的特性の低下などが生じる場合があります。そのため、屋外で長期間使用する部品では、紫外線による劣化を考慮する必要があります。屋外用途では、耐候性を高めたグレードを選定したり、カーボンブラックなどの添加によって紫外線への耐性を向上させたりする方法があります。
UHMW-PEのグレード
UHMW-PEには、標準グレードの他に各種性能を強化・付加したグレードがあります。
グレード | 主な特徴 | 用途例 |
|---|---|---|
標準グレード | UHMW-PE本来の耐摩耗性、低摩擦性、耐衝撃性などを備えた基本グレード | ガイドレール、ローラー、軸受等 |
帯電防止グレード | 表面に静電気が蓄積するのを抑える性能を付加したグレード | 電子部品の搬送部品、コンベヤ部品 |
導電グレード | 電気を通しやすくする性能を付加したグレード | 電子部品の搬送部品、静電気対策部品 |
高摺動グレード | 摩擦係数を低減し、滑り性を高めたグレード | ガイド、スライド部品 |
耐摩耗グレード | 標準グレードよりも耐摩耗性を高めたグレード | ライニング、シュート、ホッパー |
耐候グレード | 屋外での使用を想定し、紫外線などに対する耐候性を高めたグレード | 屋外設備の部品や港湾設備のフェンダー等に使用される |
抗菌・防カビグレード | 材料表面での細菌の増殖やカビの発生を抑制する性能を付与したグレード | 食品関連設備、衛生設備等 |
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