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UHMW-PEの切削加工 | 特性と設計のためのメリット・デメリット

UHMW-PEの切削加工 | 特性と設計のためのメリット・デメリット

最終更新日:2026/9/25

本記事の要点

  1. UHMW-PEは、フッ素樹脂(PTFE)に次ぐ優れた滑り特性と、ポリカーボネートを凌ぐ圧倒的な耐衝撃性を併せ持つエンジニアリングプラスチックである。

  2. 連続使用温度は80℃と低く、線膨張係数が大きいため、温度変化の激しい環境や、厳密な寸法精度が求められる精密部品には不向きである。

  3. 切削加工において細かなバリが発生しやすく除去が困難なため、小径の交差穴や内部流路を避けるなど、加工リスクを考慮した部品設計が必要となる。


UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)とは

UHMW-PEE(超高分子量ポリエチレン)は、摺動性・耐摩耗性・耐衝撃性に優れた熱可塑性のエンジニアリングプラスチックです。一般的なポリエチレン(PE)の分子量が20万~30万であるのに対し、UHMW-PEは100万~700万まで高分子量化されています。

非常に長い分子鎖を持ち、これらが絡み合うことで優れた耐摩耗性や低摩擦性、耐衝撃性を発揮します。また、耐薬品性や低吸水性にも優れており、湿潤環境や薬品を扱う設備にも使用されています。

UHMW-PEの基本物性・特性

比重

耐熱温度

電気特性

寸法安定性

耐摩耗性

耐衝撃性

すべり特性

0.94

約80℃

絶縁

△

◎

◎

◎

単位

試験法

値

引張強さ

Mpa

D638

38

破断時伸び

%

D638

420-530

衝撃強さ(アイゾット ノッチ付)

J/m

D256

破壊せず

硬度(ロックウェル)

D785

R50

線膨張率

x10-5/℃

D696

13

体積抵抗率

Ω·cm

D257

>10^16

絶縁破壊強さ

KV/mm

D149

28

※上記の数値・評価は代表的なグレードにおける目安であり、製品やグレード、使用環境によって異なります。材料選定の際は、メーカーの最新仕様をご確認ください。

UHMW-PEの特徴とメリット

優れた摺動性と耐摩耗性

UHMW-PEは優れた自己潤滑性を持ち、フッ素樹脂(PTFE)に次ぐ高い滑り特性を誇ります。PTFEと比較して材料価格がリーズナブルであるため、食品機械のガイドレールなど、高い耐摩耗性が求められる箇所に多く使用されています。

優れた耐衝撃性

分子量が非常に大きいという特性から、樹脂材料の中でも特に優れた耐衝撃性を持っています。繰り返し衝撃が加わる用途にも適しています。また、低温環境でも耐衝撃性を維持しやすいため、冷凍・低温設備などで使用される部品にも採用されています。搬送設備のガイドやライナー、ホッパーなど、落下物や衝突による衝撃が想定される部品に適しています。

優れた耐薬品性

化学的に非常に安定した材料であり、酸やアルカリ、有機溶剤など多くの薬品に対して優れた耐性を持っています。化学薬品を扱う設備や、腐食性のある環境で使用される部品にも適しています。

吸水性が低い

吸水性が非常に低いため、吸水による膨張や物性変化が起こりにくく、湿度の影響を受けやすい環境でも比較的安定した性能、寸法を維持できます。水や湿気にさらされる搬送設備、食品関連設備、屋外設備などにも使用しやすい特性です。

軽量

比重が約0.93~0.97と低く、金属材料と比較して大幅に軽量化できます。部品を樹脂化することで、装置や搬送設備などの軽量化につなげられる点がメリットです。また、軽量でありながら優れた耐摩耗性や耐衝撃性を備えているため、質量を抑えながら耐久性を確保したい部品に適しています。

UHMW-PE材質選定上の注意点

耐熱性が低い

UHMW-PEの連続使用温度はおおむね80℃前後が目安で、高温環境では軟化や強度低下が起こりやすくなります。また、荷重がかかる状態で高温になると軟化や変形が起こりやすく、温度と荷重の両方を考慮した材料選定が必要です。高温で使用する摺動部品などには、PTFEやPVDFなどの耐熱性に優れた樹脂が適する場合があります。

接着加工に向かない

接着剤が表面になじみにくいため、一般的な接着剤による接着加工には向いていません。接着強度を確保するには、表面を粗化する、プラズマ処理などで表面改質を行うといった前処理が必要になる場合があります。ボルト締結や溶着など、他の固定方法を検討したほうが確実な場合があります。

膨張係数が大きい

熱膨張係数が比較的大きく、温度変化による寸法変化が生じやすい材料です。特に精密部品では、加工時と使用時の温度差によって寸法が変化し、組み付けやクリアランスに影響する可能性があります。また、切削加工時に発生する熱によっても寸法が変化するため、高い寸法精度が求められる部品には注意が必要です。

耐候性が低い

紫外線に長期間さらされると、分子鎖の劣化によって表面の変色や脆化、機械的特性の低下などが生じる場合があります。そのため、屋外で長期間使用する部品では、紫外線による劣化を考慮する必要があります。屋外用途では、耐候性を高めたグレードを選定したり、カーボンブラックなどの添加によって紫外線への耐性を向上させたりする方法があります。

UHMW-PEのグレード

UHMW-PEには、標準グレードの他に各種性能を強化・付加したグレードがあります。

グレード

主な特徴

用途例

標準グレード

UHMW-PE本来の耐摩耗性、低摩擦性、耐衝撃性などを備えた基本グレード

ガイドレール、ローラー、軸受等

帯電防止グレード

表面に静電気が蓄積するのを抑える性能を付加したグレード

電子部品の搬送部品、コンベヤ部品

導電グレード

電気を通しやすくする性能を付加したグレード

電子部品の搬送部品、静電気対策部品

高摺動グレード

摩擦係数を低減し、滑り性を高めたグレード

ガイド、スライド部品

耐摩耗グレード

標準グレードよりも耐摩耗性を高めたグレード

ライニング、シュート、ホッパー

耐候グレード

屋外での使用を想定し、紫外線などに対する耐候性を高めたグレード

屋外設備の部品や港湾設備のフェンダー等に使用される

抗菌・防カビグレード

材料表面での細菌の増殖やカビの発生を抑制する性能を付与したグレード

食品関連設備、衛生設備等


UHMW-PEの精密切削加工はユモパーツにお任せください

UHMW-PEは非常に優れた特性を持つ一方で、「切削時のバリ処理が難しい」「寸法安定性が出にくい」といった加工上のハードルが存在します。私たちは単なる図面通りの受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景に、「用途要件を満たすなら、バリの出にくいPOMへ変更してはどうか?」「高温になる箇所なのでPTFEへ変更すべきではないか?」といった、「材質選定の最適化」や「技術提案(DfM)」を得意としております。

YUMO PARTS(ユモパーツ)では、UHMW-PEを始めとする各種エンジニアリングプラスチックの精密切削加工による部品の製作を1個から承ります。

「現在PTFEで作っている部品を安くできないか?」「寸法公差が少し厳しいが、UHMW-PEで対応可能か?」など、材質選定や切削加工に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

YUMO PARTS(ユモパーツ)のUHMW-PE加工実績

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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