PEの切削加工 | 摺動性と耐薬品性に優れた汎用樹脂の選定ポイント
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本記事の要点
ポリエチレンは軽量性、耐薬品性、低吸水性、滑り性などに優れ、包装材から機械部品まで幅広い用途で使用される汎用樹脂である。
柔軟性や耐衝撃性に優れる一方、耐熱性や剛性が低く、クリープや紫外線による劣化、燃焼、切削時のバリなどに注意が必要である。
LDPE、HDPE、UHMW-PEなど種類によって特性が異なるため、必要な強度や柔軟性、耐摩耗性、使用環境に応じた材質選定を行う。
PE(ポリエチレン)とは
PE(ポリエチレン)は、エチレンを原料としてつくられる代表的な熱可塑性樹脂です。軽量で耐薬品性や耐水性に優れるほか、柔軟性や耐衝撃性、滑り性などの特性を持ち、包装材から容器、パイプ、機械部品まで幅広い用途で使用されています。また、密度や分子量などの違いによって複数の種類があり、用途に応じて適したグレードを選択することができます。
PEの基本物性・特性
比重 | 耐熱温度 | 電気特性 | 寸法安定性 | 耐摩耗性 | 耐衝撃性 | すべり特性 |
|---|---|---|---|---|---|---|
0.95 | -40~80℃ | 絶縁 | ○ | ○ | ◎ | ○ |
※上記の数値・評価は代表的なグレードにおける目安であり、製品やグレード、使用環境によって異なります。材料選定の際は、メーカーの最新仕様をご確認ください。
PEの特徴
優れた耐薬品性
酸やアルカリ、塩類などに対して優れた耐薬品性を持つ材料です。薬品と接触しても腐食や劣化が起こりにくいため、化学薬品を扱う装置の部品やタンク、配管、ライニング材などに使用されています。一方で、芳香族炭化水素や一部の有機溶剤などには影響を受ける場合があるため、使用環境に応じた材質選定が必要です。
柔軟性・耐衝撃性に優れる
柔軟性を持ち、衝撃を受けた際に変形することで力を吸収しやすい材料です。そのため、外部からの衝撃を受けても割れにくい性質があります。特に低温環境でも優れた耐衝撃性を維持しやすく、搬送設備のガイドやライナー、緩衝材など、衝撃が加わる用途に適しています。
摩擦係数が低く、滑り性に優れる
摩擦係数が小さく、滑らかな滑り性を持つことが特徴です。摺動時の抵抗が小さいため、部品同士をスムーズに動かしたい箇所に適しており、ガイド、ローラー、軸受、ライナーなどに使用されています。また、自己潤滑性も持つため、潤滑油やグリースの使用を抑えたい用途にも適しています。特にUHMW-PEは、優れた耐摩耗性と滑り性を活かして摺動部品に広く使用されています。
軽量
比重が約0.91~0.97と小さく、ほかの樹脂と比較しても密度が低く、軽量な素材です。製品の取り扱いや持ち運びが容易になるだけでなく、輸送コストの削減や省エネルギー化にも寄与します。容器や包装フィルム、パイプなど幅広い製品に採用されており、軽量でありながら一定の強度を保てる点がメリットです。
耐水性・低吸水性に優れる
水をほとんど吸収しないため、優れた耐水性を持っています。水分を吸収しにくいことから、湿度や水との接触による寸法変化や物性変化が小さく、屋外設備や水処理設備などの部品にも使用できます。
食品製造用途にも使用できる
食品に接触する用途を想定したグレードがあり、食品製造設備や搬送機械などの部品に使用されています。化学的に安定しており、有害物質の溶出が少ないため、食品と接触する用途にも使用できます。食品用ラップやトレー、容器、包装フィルムなど、幅広い食品関連製品に採用されています。各国の食品衛生基準に適合したグレードも整備されており、安全性が求められる分野でも信頼される素材となっています。
電気絶縁性に優れる
電気を通しにくく、優れた電気絶縁性を持ちます。電気的な絶縁が必要な部品や、導体同士の接触を防ぐスペーサー、絶縁部品などに使用されています。また、低吸水性にも優れるため、湿気による絶縁性能の低下を抑えやすい点も特徴です。電気・電子機器のほか、ケーブルの被覆材などにも利用されています。
PE材質選定上の注意点
耐熱性が低く、高温環境には不向き
ポリエチレンは耐熱性が低く、高温環境では軟化して強度や剛性が低下するため、荷重がかかる部品では変形につながる可能性があります。また、種類によって使用可能な温度範囲が異なり、一般的なPEは80℃以下の比較的低温域での使用に適しています。高温環境で使用する場合は、温度条件に適したグレードか他の材料を選択する必要があります。
紫外線による劣化に注意が必要
耐候性は高くなく、屋外で長期間使用すると劣化が進みやすいという弱点があります。紫外線を受け続けることで、表面の変色やひび割れ、強度低下といった現象が起こる場合があります。屋外用途で使用する際には、紫外線吸収剤や酸化防止剤を配合した耐候グレードを選定するなどの対策が必要です。
クリープによる変形が起こりやすい
柔らかく、一定の荷重が長時間加わると徐々に変形するクリープが起こりやすい材料です。特に高温環境ではクリープが進行しやすく、寸法変化や締結部の緩みなどにつながる可能性があります。そのため、荷重を受け続ける構造部品や精密部品に使用する場合は注意が必要です。用途によってはリブ構造による補強や、より剛性の高い樹脂との使い分けが検討されます。
燃えやすい
ポリエチレンは可燃性の材料であり、一般的なグレードは、電気・電子機器や産業設備など、難燃性が求められる用途ではそのまま使用できない場合があります。必要に応じて難燃剤を添加した難燃グレードを選択します。
接着・塗装が難しい
接着剤や塗料が表面になじみにくいため、一般的な樹脂と比較して接着や塗装が難しい材料です。接着や塗装を行う場合は、表面を粗化したり、プラズマ処理やコロナ処理などの表面改質を施したりする方法があります。
バリが発生しやすい
柔軟性が高く粘りのある性質を持ち、切削時に材料が刃物に押されて変形しやすいため、加工条件によってはバリが発生しやすい材料です。特に薄肉形状や細かなエッジを持つ部品では、バリが残りやすくなります。また、切削熱によって材料が軟化すると加工面の状態が悪化することもあります。工具や切削条件、加工方法を適切に設定することが重要です。
PEの種類
分子構造や密度の違いによって複数の種類に分類され、それぞれ強度や柔軟性、耐衝撃性、加工性などの特性が異なります。代表的な種類として、以下のものが挙げられます。
種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
LDPE(低密度ポリエチレン) | 柔軟性・耐衝撃性に優れ、比較的軟らかい。透明性も比較的高い | 食品包装、フィルム、袋、チューブ、電線被覆など |
HDPE(高密度ポリエチレン) | LDPEより硬く、剛性・強度・耐薬品性に優れる。耐熱性も比較的高い | 容器、タンク、配管、コンテナ、機械部品など |
UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン) | 分子量が非常に大きく、耐摩耗性・耐衝撃性・滑り性に優れる | ガイド、ライナー、ローラー、軸受、搬送部品など |
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