SUS304とSUS316の違いとは?特徴比較と材質選定のポイント
最終更新日:2026/8/31
本記事の要点
SUS304は、比較的安価で汎用性が高いが、塩害や一部の薬品に対して腐食のリスクがある。
SUS316は、モリブデンの添加により塩化物環境下での耐孔食性に優れるが、入手性や加工性の理由でコストが高くなる。
部品設計においては、耐食性の要求レベルを見極めてSUS材を選定する必要がある。
SUS304とSUS316は、機械部品やプラント設備で多用されるオーステナイト系ステンレス鋼です。両者の大きな違いは、モリブデン(Mo)が添加されているかどうかです。この成分差が、耐食性、加工性、加工後の磁性の有無、そして材料コストに違いを生み出します。共に切削加工において使用頻度が高く、さまざまな場面で使用されます。この記事ではSUS304とSUS316の違いについて解説します。
SUS304の特徴
SUS304は、18%のクロム(Cr)と8%のニッケル(Ni)を含む、ステンレス全体の生産量の約60%を占める代表的な材質です。市場での流通量が非常に多く供給が安定していて、耐食性にも優れるため産業機械から身の回りの日用品まで幅広く採用されています。
SUS304のメリット:高い汎用性とコストパフォーマンス
常温でのプレス・絞り加工や溶接がしやすく、大気中や淡水環境で耐食性を発揮します。希少金属の含有量がSUS316に比べて少ないため、材料費が安く供給も安定しており、最も採用されやすい汎用ステンレスです。
SUS304材質選定上の注意点:一部薬品での腐食リスクと特定条件での磁性
SUS304は、塩害や特定の薬品がかかる環境では腐食のリスクがあります。本来は非磁性ですが、曲げや切削などの加工によってわずかに磁性を帯びる性質があるため、厳密な非磁性が求められる環境では注意が必要です。
塩害や薬品環境が想定される場合は、より耐食性に優れたSUS316への材質変更を検討します。磁気センサーの近くなど厳密な非磁性が求められる環境で使用する場合は、加工による磁性化のリスクを念頭に置いて、設計や加工への配慮が必要です。
SUS316の特徴
SUS316は、SUS304をベースにモリブデン(Mo)を2〜3%添加し、ニッケルの含有量も増やした金属のため、腐食・孔食に対する耐性がSUS304より優れています。コストや入手性ではSUS304に劣るため、使用環境・用途を考慮した上で材料を選択することをおすすめします。
SUS316のメリット:塩害と薬品への優れた耐食性
SUS316はモリブデン(Mo)を添加した材質です。ステンレスは表面の不動態皮膜によって錆を防いでいますが、海水などの塩化物イオンが多い環境では皮膜が破壊されやすくなります。モリブデンを添加することで皮膜の自己修復作用が高まり、薬品や塩害などの過酷な環境下でも優れた耐食性を発揮します。
SUS316材質選定上の注意点:コストと加工難易度が高い
SUS316はSUS304に比べ高価で、流通量が少ないため納期には注意が必要です。またSUS304より粘りが強く、切削加工がしづらいという特徴があります。熱伝導率が低く加工硬化もしやすいため、切削工具が摩耗しやすく、加工リードタイムと加工費の増加につながります。
SUS316はSUS304に比べ流通量が少ないため、納期遅延のリスクを回避できるよう材料の確保を早めに進めることが重要です。また、求められる仕様に対してオーバースペックになっていないかを見直し、材料変更を検討することもコストダウンにつながります。
SUS304とSUS316の違い
SUS304とSUS316の物性を比較すると、主に耐食性に違いが見られます。SUS316はSUS304よりも耐食性・耐孔食性に優れており、特に海水などの塩化物イオンと接触する可能性のある環境での使用に適しています。加工性はSUS304の方が優れており、切削加工と溶接加工で特に難なく加工することができます。しかし、SUS304は機械加工により磁性を持つことがある点に注意が必要です。
耐食性 | 曲げ加工性 | 切削加工性 | 価格 | 磁性 | |
|---|---|---|---|---|---|
SUS304 | 良好 | 良好 | 難削 | 比較的安価 | なし※ |
SUS316 | 極めて良好 | 良好 | 難削 | 硬化 | なし |
※SUS304は加工により磁性を持つようになる可能性あり。
SUS304とSUS316の物性比較
化学成分(%)
材質 | 炭素(C) | ケイ素(Si) | マンガン(Mn) | リン(P) | 硫黄(S) | ニッケル(Ni) | クロム(Cr) | モリブデン(Mo) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SUS304 | 0.08以下 | 1.00以下 | 2.00以下 | 0.045以下 | 0.030以下 | 8.0 - 10.5 | 18.0 - 20.0 | - |
SUS316 | 0.09以下 | 1.01以下 | 2.01以下 | 0.045以下 | 0.030以下 | 10.0 - 14.0 | 16.0 - 18.0 | 2.0 - 3.0 |
物理的性質
物理的性質 | 密度(kg/m2) | 縦弾性係数(Gpa) | 比電気抵抗(常温)μΩ・cm | 比熱((0~100℃)KJ/kg ・K) | 熱伝導率((100℃)W/m・K) | 熱膨張係数(0~100℃)X10-6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
SUS304 | 7930 | 193 | 72 | 0.5 | 16.3 | 17.3 |
SUS316 | 7980 | 193 | 74 | 0.5 | 16.3 | 15.9 |
機械的性質
機械的性質 | 耐力 (N/m㎡) | 引張強さ (N/m㎡) | 伸び (%) | 絞り (%) | HB | HRB | HV |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
SUS304 | 205以上 | 520以上 | 40以上 | 60以上 | 187以下 | 90以下 | 200以下 |
SUS316 | 205以上 | 520以上 | 40以上 | 60以上 | 187以下 | 90以下 | 200以下 |
※記載している化学成分、物理的性質、および機械的性質の各数値は、一般的な一例(代表値)を示すものであり、保証値ではありません。実際の数値は条件により変動します。実設計に際しては、必ず材料メーカーの発行するミルシートやJIS規格値をご参照ください。
ステンレスの材質選定・精密部品加工はユモパーツへお任せください
YUMO PARTS(ユモパーツ)では、SUS304、SUS316をはじめとする各種ステンレス鋼の精密切削加工において豊富な実績があります。これまでの加工ノウハウを活かし、「使用環境に合わせた最適な材料」「要求精度を満たすための最適な工法」をご提案いたします。
材質選定や最適な加工方法、コストダウンの形状提案など、設計・開発段階でのご相談も大歓迎です。ぜひお気軽にお見積り・お問い合わせください。
\ 最適な解決策をご提案します /



