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チタンの切削加工 | 比強度に優れた難削材の精密切削加工

チタンの切削加工 | 比強度に優れた難削材の精密切削加工

最終更新日:2026/9/4

本記事の要点

  1. チタンは軽量・高強度・高耐食性を兼ね備えた金属で、航空・宇宙、医療、化学など幅広い分野で使用されている。

  2. 比強度や耐食性、生体適合性に優れる一方、材料コストが高く、熱伝導率やヤング率の低さから切削加工では熱や変形への対策が重要となる。

  3. チタンの切削加工では、加工材の変形や工具摩耗、切り粉の発火などが起こりやすいため、条件を適切に管理する必要がある。


チタンは、軽量性と高い強度、優れた耐食性を兼ね備えた金属材料です。優れた特性をもち、航空・宇宙、化学、医療、自動車など幅広い分野で使用されています。純チタンに加え、アルミニウムやバナジウムなどを添加したチタン合金もあり、用途に応じて使い分けられています。一方で、材料コストが高く、切削加工では工具摩耗や加工時の変形などに注意が必要です。本記事では、チタンの特徴や代表的な種類、用途、注意点について詳しく解説します。

チタンの特徴とメリット

チタンは航空・宇宙、化学、医療など幅広い分野で使用されています。ここでは、設計・加工時に知っておきたいチタンの主なメリットを紹介します。

軽量性に優れる

チタンの密度は約4.4g/cm³で、鉄鋼材料に比べて軽い材料であり、置き換えることで部品の軽量化につながります。特に、軽量化と強度の両立が求められる航空・宇宙分野や自動車、産業機器などでメリットを発揮します。

チタン合金

ステンレス鋼

アルミニウム合金

比重

4.43

7.6~8.1

2.6~2.8

8.9

チタン合金との比較

約1.8倍

約0.6倍

約2倍

比強度が高い

チタンは、質量に対する強度を示す「比強度」が高いことが大きな特徴です。特に純チタンよりも、アルミニウムなどを添加したチタン合金は高い強度を持ち、軽量性と強度を両立しやすい材料です。そのため、重量を抑えながら高い荷重に耐える必要がある部品に適しています。航空機の構造部品やエンジン周辺部品、スポーツ用品など、軽量化が性能に直結する用途で多く採用されています。


純チタン

チタン合金(6AL-4V)

ステンレス(SUS304)

アルミニウム合金(A5052P)

引張強度(N/mm2)

393

999

588

212

213

比強度

87.1

225.5

74.4

75.7

23.9

耐食性に優れる

チタンは、空気中の酸素と反応して表面に非常に薄く緻密な酸化皮膜を形成するため、優れた耐食性を示します。海水や塩化物環境にも強く、ステンレス鋼では腐食が問題となる環境でも使用されます。また、酸化皮膜は傷ついても再形成される「自己修復性」を持つ点も特徴です。化学プラントの配管・熱交換器、海水設備など、腐食への耐久性が求められる用途に適しています。

熱伝導率が低い

チタンの熱伝導率は約17W/(m・K)と、アルミニウムや銅などの金属と比べて低いのが特徴です。そのため、熱が材料内部へ伝わりにくく、温度変化が部品全体に伝わる速度を抑えやすい材料です。

生体適合性に優れる

チタンは、生体適合性に優れる材料です。表面に形成される安定した酸化皮膜によって腐食しにくく、金属イオンが溶出しにくいことも特徴です。骨と結合しても拒否反応を起こさないという金属の中でも稀有な特徴を持っています。そのため、人工関節や骨固定用プレート、歯科用インプラントなど、長期間にわたって人体と接触する用途で採用されています。

チタンの注意点

チタンは優れた特性を持つ一方、材料選定や部品加工の際には注意したいデメリットもあります。

材料コストが高い

チタンは、鉄鋼やアルミニウムなどの一般的な金属材料と比べて材料コストが高いです。チタン鉱石から金属チタンを取り出すには複数の工程が必要で、製錬にも高いコストがかかります。また、チタン合金では添加元素によってさらに価格が高くなる場合があります。そのため、チタンならではの特性が必要な用途で採用することが重要です。

切削加工が難しい

チタンは切削加工が難しい材料の一つです。熱伝導率が低いため、切削時に発生した熱が材料や切りくずへ逃げにくく、工具刃先に熱が集中しやすくなります。また、加工中に凝着や焼付きが発生しやすいため、工具摩耗も進みやすい傾向があります。さらに、弾性係数が低く材料がたわみやすいため、薄肉部品では寸法精度の確保にも注意が必要です。

チタンの切削加工が難しい理由

チタンは、軽量・高強度・高耐食性に優れる一方、切削加工では独特の難しさがあります。

変形しやすく、加工精度を確保しにくい

チタンはヤング率(縦弾性係数)が低く、鉄鋼材料などと比べて材料がたわみやすい性質があります。そのため、切削時に切削抵抗を受けると加工材が変形しやすく、工具が離れた後に弾性回復することで、狙った寸法や形状からずれが生じる場合があります。特に薄肉部品や細長い形状では影響が大きく、びびりや寸法精度の低下につながります。

工具の摩耗が激しい

熱伝導率が低く、切削熱が逃げにくいため、切削時に発生した熱が工具の刃先に集中しやすくなります。さらに、チタンは工具材料との親和性が高く、切削中に材料が工具へ凝着しやすい性質があります。その結果、刃先の摩耗やチッピングが進みやすく、工具寿命が短くなります。

切り粉が燃えやすい

チタンの切り粉は、表面積が大きく、切削熱が蓄積しやすいため、発火しやすいという特徴があります。チタン自体は通常の状態では燃えにくい金属ですが、細かい切り粉になると酸素との接触面積が増え、熱がこもることで燃焼につながる可能性があります。

チタンの種類

純チタン

純度が高く、主にチタンと極少量の不純物で構成されています。純チタンは耐食性があり、軽量で加工性も良いため、一般的な工業・医療用途に広く使用されています。

α-チタン合金

主にα相の結晶構造を持つチタン合金です。アルミニウムやバナジウムなどの安定化元素が添加されています。α-チタン合金は強度と耐食性が高く、航空機や自動車の構造部品、医療用インプラントなどに使用されます。

β-チタン合金

主にβ相の結晶構造を持つチタン合金です。モリブデンやニオブなどの安定化元素が添加されています。β-チタン合金は高い強度、耐熱性、加工性を持ち、航空宇宙産業やスポーツ用具などの分野で使用されます。

α-βチタン合金

α相とβ相の両方の結晶構造を持つチタン合金です。アルミニウムやバナジウム、モリブデンなどの安定化元素が組み合わされます。α-βチタン合金は高い強度、耐食性、熱耐性を兼ね備え、航空機部品や自動車部品、医療機器などに広く使用されます。

耐熱チタン合金

高温環境での耐久性が求められる用途向けに開発されたチタン合金です。ニオブやモリブデン、タングステンなどの高温強化元素が添加されます。これらの合金はガスタービンエンジン、ジェットエンジン、原子力発電所などの高温環境での利用に適しています。

バイオチタン合金

医療用途に特化したチタン合金です。生体適合性があり、骨や歯のインプラント、人工関節、歯科用具などに使用されます。一般的なバイオチタン合金には、Ti-6Al-4V ELI(Extra Low Interstitial)などがあります。


チタンや難削材の精密切削加工はユモパーツにお任せください。

YUMO PARTS(ユモパーツ)では、チタンの精密切削加工による部品の製作を行っています。難削材・難形状の部品製作の依頼先にお困りの際は、一度ご相談ください。

チタンの切削加工事例

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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