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3Dプリントに必要なデータ | STLとSTEPの違い・スライサーの役割

3Dプリントに必要なデータ | STLとSTEPの違い・スライサーの役割

最終更新日:2026/7/17

本記事の要点

  1. 3Dプリントには、立体形状を定義する「3Dデータ」と、機械の動作命令となる「スライサーデータ」の2つが必要不可欠である。

  2. 3Dデータ形式は、造形用の最終フォーマットである「STL」と、編集・修正が可能な中間ファイル「STEP」が主流であり、外注手配時はSTEP形式での共有が推奨される。

  3. スライサーデータは専用ソフトを用いて3Dデータから生成され、積層ピッチや内部充填率、サポート材の配置など、造形品質を左右する重要なパラメータを決定する。


製品開発や試作の現場において、3Dプリントを活用した部品加工は欠かせない選択肢となっています。しかし、意図した通りの寸法精度や強度を持った部品を出力するためには、機械を動かすための正しいデータの準備が最初の関門となります。

本記事では、3Dプリンター出力に必須となる3Dデータとスライサーデータの役割や、設計者が押さえておくべき代表的なデータ形式(STLとSTEP)の違いについて解説します。

3Dプリンターでの造形に必要な2つのデータ

3Dプリンターで立体物を造形するためには、用途の異なる以下の2つのデータが必要です。

  • 3Dデータ: 造形物の「立体的な形状」を表すデータ

  • スライサーデータ: 3Dプリンターを実際に動かすための「加工指示(プログラム)」データ

どんなに高精度な3Dプリンターであっても、3Dデータをそのまま読み込んで出力することはできません。3Dデータを3Dプリンター専用の言語(スライサーデータ)に変換するプロセスが発生します。

3Dデータの作成方法

3Dデータを作成するには、主に以下の2つのアプローチがあります。

3D-CADソフトの使用

SolidWorksやAutoCADなどの3D-CADソフトを使用してゼロからモデリングを行います。2D図面しか存在しない場合でも、図面寸法を元に3D化することが可能です。設計の自由度が高く、複雑な機構設計にも対応できますが、専門的なスキルを要します。

3Dスキャナーによるリバースエンジニアリング

図面やデータが存在せず「現物」しか手元にない場合、3Dスキャナーを用いて現物の形状を読み取り、3Dデータ化します。手軽にデータ化できるメリットがある一方で、微細な凹凸の完全な再現や、スキャンデータ(点群・メッシュ)から編集可能なソリッドデータへの変換には高度な処理が必要です。

3Dプリントにおけるデータ形式:STLとSTEPの違い

3D-CADソフトで作成したモデルは、さまざまな拡張子で保存・エクスポートが可能です。部品加工の現場において、設計者がとくに理解しておくべき形式がSTL形式とSTEP形式です。

STL形式 (.stl)

STEP形式 (.step / .stp)

データ構造

ポリゴンメッシュ
(微小な三角形の集合)

ソリッド / サーフェスモデル
(正確な数学的形状)

寸法・履歴情報

保持しない

保持する

編集・修正

困難(寸法変更などは基本的に不可)

容易(CADソフトで正確な修正・編集が可能)

主な用途

3Dプリンター用スライサーへの読み込み

異なるCADソフト間でのデータ受け渡し、外注手配

STL形式 (.stl)

STLは、3Dプリンター業界における事実上の標準(デファクトスタンダード)フォーマットです。立体の表面を無数の三角形のポリゴン(メッシュ)で近似して表現します。

3Dプリンターの出力には最終的にこのSTLデータへの変換が必要になりますが、寸法情報を持たないため、変換後の設計変更や微調整が非常に難しいという側面があります。

また、曲面を三角形で表現するため、解像度(トレランス)の設定を誤ると、造形物の表面がカクカクとした多角形になってしまうリスクがあります。

STEP形式 (.step / .stp)

STEPは、異なるCADシステム間でデータをやり取りするためにISOで規格化された中間フォーマットです。正確な形状データや寸法情報を保持した「ソリッドモデル」として保存されます。

加工を外注する際、製造側での寸法確認や、造形方向に合わせた微細なモデル修正(サポート材を立てるための最適化など)が必要になるケースが多々あります。そのため、部品加工を依頼する際は、後から編集が可能なSTEP形式で入稿するのが最もスムーズで確実な方法です。

機械を動かすスライサーデータの役割

用意した3Dデータ(STL)を3Dプリンター専用の「スライサーソフト」に読み込ませることで作成されるのが、スライサーデータです。

スライサーソフトは、3Dデータを水平方向に薄く輪切り(スライス)にし、ノズルやレーザーがどのように動いて材料を積み重ねていくかという「経路情報(ツールパス)」を生成します。このスライサーデータには、形状情報だけでなく、造形物の品質や強度を左右する以下の重要なパラメータが含まれます。

  • 積層ピッチ: 1層あたりの厚み。薄いほど表面は滑らかになりますが、造形時間は長くなります。

  • インフィル(内部充填率): 造形物内部の密度や構造。強度や重量、材料コストに直結します。

  • サポート材の配置: 空中に浮いた形状(オーバーハング)を支えるための仮設構造の生成指示。

  • 造形時間と材料使用量: 出力にかかる時間や、必要な材料(樹脂や金属)の総量が算出されます。

設計者が作成した意図を損なうことなく部品を形にするためには、単にデータを出力するだけでなく、材質の特性を理解した上でスライサーの設定を最適化するノウハウが不可欠です。


3Dプリント・データの準備はユモパーツにお任せください

本記事で解説した3Dデータの準備、または3Dプリントでの試作・部品製作でお困りなら、YUMO PARTS(ユモパーツ)へご相談ください。2D図面からの3Dデータの作成・製作まで当社でワンストップで対応します。

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3Dプリントに必要なSTLとSTEPデータの違い

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、アルミ・樹脂から難削材まで200種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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