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アルミニウムの切削加工 | 比強度に優れた金属の精密切削加工

アルミニウムの切削加工 | 比強度に優れた金属の精密切削加工

最終更新日:2026/8/16

本記事の要点

  1. アルミニウムは比重が鉄の約3分の1と軽量でありながら、マグネシウムや亜鉛などの添加による合金化によって高い比強度を実現でき、産業機械等の軽量化設計に寄与する。

  2. アルミ合金には1000番系から7000番系までの分類があり、強度、耐食性、熱伝導率などの物性が異なるため、要求スペックに応じた的確な材質選定が不可欠である

  3. アルミは反りや傷、アルマイト後の寸法変化等のトラブルの懸念があるため、均肉設計やリブ追加など設計段階での配慮が必要である。


アルミニウムは加工性に優れ、金属の中では非常に軽いという特徴を持つ材質です。単位重量あたりの強度(比強度)が高く、産業用ロボットや自動車部品など、製品の軽量化・効率化を目的に広く利用されています。

本記事では、切削加工におけるアルミの基礎的な特徴から、番手(種類)ごとの物性比較、ジュラルミンの特性、加工時に起こりやすいトラブルとその解決策を解説します。

アルミニウムの特徴

アルミニウムがものづくりの現場で頻繁に採用される理由は、主に以下の優れた特性にあります。

軽さと高い比強度

アルミニウムの比重は約2.7であり、鉄(約7.8)や銅(約8.9)と比較して約3分の1の軽さを持ちながら、合金化や熱処理によって高い強度を実現できます。このため、重量を抑えながら必要な強度を確保できる比強度(重量あたりの強度)に優れた材料です。輸送機器や産業機械では軽量化による省エネルギーや可搬性の向上に貢献し、航空機、自動車、ロボット部品など幅広い分野で採用されています。

優れた加工性

アルミニウムはマシニングセンタやNC旋盤などを用いた切削加工性に非常に優れた材質です。ステンレスやチタン合金などの難削材と比較して工具の摩耗が少なく、加工時間が短縮できるため、複雑な形状や高い精度が要求される精密機械部品を、比較的安価かつスピーディーに製作できます。

高い熱伝導性と電気伝導性

アルミニウムは熱伝導率が約200~240W/(m・K)と高く、発熱部品の熱を効率よく拡散・放熱できるため、ヒートシンクや電子機器の筐体などに多く使用されています。また、電気伝導率も銅には及ばないものの高い水準にあり、軽量であることから送電線やバスバーなどにも採用されています。熱と電気の両方を効率よく伝える特性を持つことが、アルミニウムが幅広い産業分野で利用される理由の一つです。

アルミニウム合金の種類(番手)と特徴比較

純アルミは柔らかく強度が不足しがちなため、切削加工では他金属を添加した合金が主流です。頭文字「A」と4桁の数字(番手)で分類され、それぞれ異なる特性を持ちます。

番手

主な添加金属

特徴・用途・加工性

代表的な材質

1000番系

なし

純度が99%以上の純アルミニウムで、導電性・熱伝導性・耐食性に優れるが強度は低い。粘り気が強く、切削時は構成刃先や切り粉の絡まりに注意が必要。

A1100, A1050

2000番系

Cu(銅)

強度が高く「ジュラルミン」と呼ばれる。銅を含むため耐食性が低く、アルマイト等の防錆処理が推奨される。溶接には不向き。

A2017, A2024

3000番系

Mn(マンガン)

純アルミの耐食性を維持しつつ強度を向上。切削材より成形材料(アルミ缶・建材など)として利用されることが多い。

A3003

4000番系

Si(シリコン)

熱に強く、耐摩耗性に優れる。鍛造ピストンなどに利用。

A4032

5000番系

Mg(マグネシウム)

耐食性と強度のバランスが良く、切削加工性も良好。板金から切削まで、最も頻繁に使用されるアルミの代表的・汎用材。

A5052, A5056

6000番系

Mg, Si

5000番系より強度・耐食性に優れる。A6061は熱処理によりSS400相当の強度を発揮。押出成形性が良くアングル等の型材が多い。

A6061, A6063

7000番系

Zn, Mg

アルミ合金の中で最高クラスの強度を持つ(超々ジュラルミン)。航空機部品などに使用されるが、応力腐食割れへの配慮が必要。

A7075

強度を高めたアルミ合金「ジュラルミン」

2000番系および7000番系に分類される材質は、その卓越した強度からジュラルミンと総称されます。

ジュラルミン

ジュラルミンは、アルミニウムに銅(Cu)を主な添加元素として加えたアルミニウム合金で、A2017が代表的な材質です。純アルミニウムよりも強度が高く、切削加工性にも優れるため、機械部品や治具など幅広い用途で使用されています。一方で、銅を多く含むため耐食性は高くなく、屋外や腐食環境ではアルマイト処理などの表面処理を施すことが一般的です。強度と加工性のバランスに優れた材料として広く利用されています。

超ジュラルミン

超ジュラルミンは、ジュラルミンをさらに高強度化したアルミニウム合金で、一般的にはA2024が代表材です。銅(Cu)に加えてマグネシウム(Mg)を添加することで強度や疲労強度が向上し、航空機構造材として広く採用されてきました。切削加工性は良好ですが、耐食性はあまり高くないため、防食処理やクラッド材が使用されることもあります。高い強度が求められる機械部品や航空・輸送機器などで多く使用される代表的な高力アルミニウム合金です。耐食性を補うために、表面に純アルミ系のA1230をはり合わせ耐食性を改善したA2024PCという合わせ板があります。

超々ジュラルミン

超々ジュラルミンは、アルミニウム合金の中でも特に高い強度を持つ材料で、一般的にはA7075を指します。亜鉛(Zn)を主な添加元素とし、マグネシウム(Mg)や銅(Cu)を加えることで、アルミニウム合金中最高クラスの強度を実現しています。その強度は一部の構造用鋼に匹敵し、航空機や金型、精密治具、高強度部品などに使用されています。一方で、耐食性や溶接性はA5052やA6061に比べて劣るため、用途に応じた表面処理や設計上の配慮が必要です。これらの弱点を補った合わせ板として、表面にA7072を貼り合わせ耐食性を改善したアルミ材もあります。

アルミ材質選定上の注意点

アルミニウム合金の切削加工において、設計段階で押さえておきたいポイントを紹介します。

起こりやすいトラブル

主な原因

設計時のポイント

反り・変形

アルミはヤング率が低く剛性が小さいため、切削時の応力や残留応力の解放によって変形しやすい。特に薄肉形状や大きな肉抜き部で発生しやすい。

極端な薄肉形状を避け、肉厚を均一にする(均肉設計)。必要に応じてリブを設け、剛性を高める。

加工精度の低下

深穴や細溝加工では工具のたわみや切りくずの排出不良が発生し、寸法精度や面粗さが悪化しやすい。

深穴や細溝、小さすぎるコーナーRは避け、標準工具で加工しやすい形状とする。

傷・打痕の発生

アルミは比較的軟らかく、加工・搬送・組立時に傷や打痕が付きやすい。

外観面を図面で明確に指示し、必要に応じてアルマイト処理を検討する。

アルマイト後の寸法変化

アルマイト処理では皮膜が生成されるため、穴径や軸径などの寸法がわずかに変化する。

アルマイトを前提とした寸法・公差を設定し、必要に応じて処理後仕上げやマスキングを検討する。

切削加工後の主な表面処理

表面処理

目的・特徴

アルマイト処理(陽極酸化)

耐食性・耐摩耗性向上。白・黒・カラーなど種類あり

アロジン処理(化成皮膜)

導電性を維持したまま耐食性を付与。EMIシールド用途にも

無電解ニッケルめっき

複雑形状でも均一な膜厚。耐摩耗性・耐食性向上

硬質クロムめっき

摺動部の耐摩耗性・低摩擦化

三価クロメート処理

環境負荷の低い皮膜による耐食性付与


アルミニウムの精密切削加工はユモパーツにお任せください

YUMO PARTS(ユモパーツ)では、汎用性の高いA5052やA5056から、超々ジュラルミンのA7075まで、幅広いアルミニウム合金の高精度な切削加工に対応しています。他金属はもちろん、PEEKやPOM、MCナイロンなどのエンジニアリングプラスチックまで、200種類以上の材質に対応した豊富な加工実績がございます。

「要件を満たすためにはどの番手が最適か」「この設計のままで加工は可能か」といった、技術的なお悩みからサポートいたします。アルミ部品の切削加工でお困りの際は、YUMO PARTSへお気軽にご相談ください。

YUMO PARTS(ユモパーツ)のアルミニウム切削加工事例

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、アルミ・樹脂から難削材まで200種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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