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真鍮の切削加工 | 耐食性と熱・電気伝導性に優れた金属の精密切削加工

真鍮の切削加工 | 耐食性と熱・電気伝導性に優れた金属の精密切削加工

最終更新日:2026/8/30

本記事の要点

  1. 真鍮(黄銅)は銅に亜鉛を加えた合金で、電気伝導率と熱伝導率が高く、切削性や展延性にも優れ、幅広い分野で使用される。

  2. 屋外では表面が酸化して変色しやすく、快削黄銅(C3604)は鉛を含むため食品・医療用途では規制対象となる場合がある点には注意が必要である。

  3. 真鍮には銅と亜鉛の比率や添加元素が異なる複数の規格があり、それぞれ強度・加工性・耐食性の特性が異なるため、用途に応じて適切な材質を選定することが重要である。


真鍮(黄銅)は、銅(Cu)を主成分に亜鉛(Zn)を加えた銅合金です。亜鉛の含有量を調整することで、銅の優れた導電性や耐食性をベースに、強度や加工性、耐食性などの特性を強化し、用途に応じたさまざまな種類が規格化されています。本記事では、真鍮の特徴や代表的な種類、用途、注意点について詳しく解説します。

真鍮の特徴とメリット

真鍮は、加工のしやすさと機能性を兼ね備えた材料として、機械部品から電気・電子部品まで幅広い用途で使用されています。ここでは、真鍮の代表的な特徴と採用される理由について解説します。

電気伝導率が高い

真鍮は、銅を主成分とする合金であるため、優れた電気伝導性を備えています。純銅ほどではありませんが、十分な導電性を持ち、強度や加工性とのバランスに優れることから、電気・電子部品に広く使用されています。特に、端子やコネクタ、スイッチ部品、バスバーなど、電流を安定して流しながら機械的な強度も求められる用途に適した材料です。

熱伝導率が高い

真鍮は熱伝導率が高く、発生した熱を効率よく拡散できるため、放熱性が求められる部品にも適しています。熱が局所的に集中しにくく、温度ムラを抑えられることから、電子機器部品や熱交換器、配管部品などに使用されています。

加工性に優れる

真鍮は、金属材料の中でも加工性に優れた材料です。切削性に優れ、高速かつ安定した加工が可能です。そのため、寸法精度や表面仕上げの品質を確保しやすく、複雑形状や精密部品の加工にも適しています。中でもC3604(快削黄銅)は、鉛の添加により被削性がさらに高く、自動旋盤による量産加工などで広く使用されています。

また、真鍮は展延性にも優れており、曲げ加工やプレス加工、深絞り加工にも適しています。特にC2600(黄銅)は冷間加工性が高く、端子やコネクタ、装飾部品など複雑な形状の成形にも広く採用されています。切削加工から塑性加工まで幅広い製造方法に対応できる点も、真鍮の大きなメリットです。

高い耐食性

真鍮は、鉄のように赤錆が発生しにくく、優れた耐食性を備えています。大気中や水回りなどの一般的な環境では腐食しにくいため、配管部品やバルブ、継手、建築金物など幅広い用途で使用されています。一方で、海水環境やアンモニアを含む環境では脱亜鉛腐食や応力腐食割れが発生する場合があるため、使用環境に応じて適切な材質を選定することが重要です。

抗菌性能を持つ

真鍮は、銅に由来する抗菌性を備えた材料です。表面に付着した細菌やウイルスの増殖を抑制する効果が期待されており、人が頻繁に触れる部品にも採用されています。ドアノブや手すり、水栓金具、医療・介護施設の設備などで利用されることが多く、衛生面を重視する環境に適しています。ただし、抗菌性能は表面状態や使用環境によって効果が異なり、滅菌や消毒の代替となるものではありません。

真鍮材質選定上の注意点

真鍮は多くの優れた特性を持つ一方で、使用環境や用途によっては注意すべき点もあります。ここでは、設計時に押さえておきたい真鍮の主な注意点について解説します。

屋外では表面が酸化して変色することがある

耐食性に優れていますが、屋外や湿度の高い環境では、空気中の酸素や水分と反応して表面が酸化し、褐色や黒色へと変色することがあります。さらに、雨水や大気中の二酸化炭素、塩分などの影響を受けると、緑青(ろくしょう)が発生する場合もあります。これらは表面に形成される酸化皮膜であり、一般的には材料の強度へ大きな影響を与えるものではありませんが、外観を重視する部品ではクリア塗装やめっきなどの表面処理を検討するとよいでしょう。

高温環境での使用には注意

常温では十分な強度を備えていますが、高温環境では強度や硬度が低下しやすく、長時間使用すると変形やクリープが発生する可能性があります。また、高温では酸化が進みやすく、表面の変色や劣化が生じることもあります。そのため、高温下で高い強度や耐久性が求められる用途には適していません。使用温度が高い環境では、ステンレス鋼や耐熱合金など、使用条件に適した材料を選定することが重要です。

C3604(快削黄銅)は鉛含有による用途制限に注意

C3604(快削黄銅)は、鉛を添加することで優れた被削性を実現した材料です。一方で、鉛は人体や環境への影響が懸念されるため、食品・飲料設備や医療機器、玩具などでは法規制や業界基準の対象となる場合があります。また、RoHS指令や各国の飲料水関連規格などへの適合が求められるケースもあるため、用途に応じて鉛フリー黄銅などの代替材を検討することが重要です。

ゴムと接触すると劣化を促進させる場合がある

一部のゴム材料と長期間接触すると、ゴムの劣化を促進する場合があります。これは真鍮に含まれる銅イオンがゴムの酸化反応を促進し、硬化やひび割れなどを引き起こすためです。特に天然ゴムや一部の合成ゴムで発生しやすく、シール材やパッキンと組み合わせて使用する際には注意が必要です。ゴムとの接触が避けられない場合は、適切なゴム材質を選定したり、めっきなどで金属表面を保護したりすることが有効です。

脱亜鉛腐食に注意

一般的な環境では優れた耐食性を持ちますが、水道水や海水、塩化物を含む環境では「脱亜鉛腐食」が発生する場合があります。これは、真鍮中の亜鉛が優先的に溶け出し、銅だけがスポンジ状に残る腐食現象です。材料の強度が低下し、漏れや破損の原因となることがあります。特に配管部品やバルブなどでは注意が必要であり、腐食環境では脱亜鉛腐食に強い耐脱亜鉛黄銅(DZR黄銅)や他の耐食材料を選定することが推奨されます。

真鍮(黄銅)の代表的な種類と仕様比較

代表的な規格と特性を表にまとめました。

材質

通称

特徴

主な用途

C2600

黄銅1種(七三黄銅)

銅:約70%、亜鉛:約30%。展延性・深絞り性・めっき性に優れ、冷間加工に適する。

端子、コネクタ、装飾品、深絞り部品

C2680

黄銅2種

銅:約65%、亜鉛:約35%。強度と展延性、加工性のバランスに優れる。

コネクタ、スイッチ端子、ボタン、建築金物

C2801

黄銅3種(六四黄銅)

銅:約60%、亜鉛:約40%。強度が高く、曲げ加工やプレス加工、めっきにも適する汎用材。

機械部品、建築金物、ネームプレート、配線器具

C3604

快削黄銅

鉛を添加し、被削性を大幅に向上。高速切削や自動旋盤加工に適し、寸法精度も確保しやすい。

ボルト・ナット、継手、バルブ、精密機械部品

C3771

鍛造用黄銅

熱間鍛造性に優れ、複雑形状を高い生産性で成形できる。強度と加工性のバランスが良い。

水栓金具、バルブ、配管継手、自動車部品

※注記:上記は一般的な特性の比較です。加工条件によって仕上がりは変動します。


真鍮の切削加工・試作開発ならユモパーツへお任せください

YUMO PARTS(ユモパーツ)では銅の切削加工による特注・オーダーメイド部品の製作を1個から承ります。試作や本製作・量産、治具の製作に対応。アルミ加工など、幅広い金属加工の取り扱いがあります。比較のためのお見積り、材質選定のご相談もお気軽にお問い合わせください。

真鍮の切削加工事例

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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