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銅(純銅)の切削加工 | 熱・電気伝導性に優れた金属の精密切削加工

銅(純銅)の切削加工 | 熱・電気伝導性に優れた金属の精密切削加工

最終更新日:2026/8/30

本記事の要点

  1. 銅は銀に次ぐ高い導電性と非常に優れた熱伝導性を兼ね備えており、電線やバスバー、コネクタ、ヒートシンクなど電気・放熱関連部品に幅広く使用されている。

  2. 銅は表面に緻密な酸化皮膜を形成して高い耐食性を発揮するほか、曲げやプレスなど加工がしやすく、抗菌作用により衛生分野でも活用されている。

  3. 純銅は強度や耐摩耗性が低く、高温下での強度低下、異種金属との接触による電食、価格変動などの課題があり、用途に応じて適切な銅合金を選定することが重要である。


銅は柔らかく切削加工しやすい金属材質です。快削性により複雑形状への加工や精密な加工に適しています。また、銅は熱・電気の伝導性が高い特徴を持つ有色の金属です。金属材質の中では、常温で銀に次いで2番目に電気抵抗が小さく、電線や電池などに使用されています。この記事では銅の特徴と種類について紹介します。

銅の特徴

銅は電気や熱を効率よく伝える性質に加え、耐食性や加工性にも優れており、多くの産業分野で利用されています。ここでは、設計や材料選定で特に重要となる銅のメリットを紹介します。

優れた導電性

銅は銀に次ぐ高い導電性を持ち、電気抵抗が小さいことから、電線やバスバー、コネクタ、端子などの導電部品に広く使用されています。電力損失を抑えられるため、省エネルギー化や発熱の低減にも貢献します。また、導電率が安定しているため、産業機器や電子機器など、高い信頼性が求められる用途でも標準的な材料として採用されています。

温度毎の銅の体積抵抗率[μΩcm] 0℃:1.55 , 100℃:2.23 , 300℃:3.6 , 700℃:6.7
抵抗値[Ω] = 体積抵抗率[μΩcm] × 長さ[m] / 断面積[mm^2] × 0.01
体積抵抗率の参考:「各種物質の性質:金属の電気抵抗」(外部サイト)

優れた熱伝導性

熱伝導率が非常に高く、発生した熱を素早く拡散できることが大きな特徴です。そのため、ヒートシンクや熱交換器、冷却プレートなど、放熱性能が重要な部品に多く使用されています。電子機器の高出力化・小型化が進む中では、部品の温度上昇を抑えることが製品寿命や性能の維持につながるため、銅の高い熱伝導性は大きなメリットとなります。

耐食性が高い

大気中や水中で表面に緻密な酸化皮膜を形成するため、鉄のように赤錆が進行しにくく、長期間にわたり安定した性能を維持できます。屋外設備や配管、給水・給湯部品などにも多く採用されており、適切な環境では優れた耐久性を発揮します。また、表面は経年変化によって褐色や緑青へと変色しますが、この皮膜が内部の腐食を抑制する役割も果たします。

加工性・接合性に優れる

延性・展性に優れ、曲げ加工やプレス加工、鍛造、切削加工など幅広い加工方法に対応できます。また、ろう付けやはんだ付けが容易で、接合部の信頼性を確保しやすいことも特徴です。純銅は切削時に切りくず処理が難しい場合がありますが、快削銅合金を選択することで加工効率を向上させることも可能です。設計の自由度が高く、多様な製品へ適用しやすい材料です。

抗菌性を持つ

細菌やウイルスの増殖を抑える抗菌作用があり、衛生性が求められる用途でも活用されています。人が頻繁に触れるドアノブや手すり、医療・介護施設の設備、給水設備などで採用される例が多く、薬剤を使用せずに衛生環境の維持へ貢献できる点が特徴です。

低温環境でも特性を維持しやすい

低温環境においても、電気伝導性や熱伝導性などの特性を維持しやすい材料です。特に電気抵抗は温度が低下すると小さくなる傾向があり、低温では電気伝導性が向上します。また、低温によって脆化しにくいことも銅の特徴です。そのため、低温環境で使用される電気部品や熱伝導部品などに適しています。

非磁性

非磁性材料のため、磁気の影響を受けにくい部品や、磁場を乱したくない用途に適しています。ただし、銅は完全に磁気と無関係ではなく、磁場の変化に対しては渦電流が発生するため、電磁シールドや高周波部品などではこの特性も考慮する必要があります。

銅の注意点

銅は導電性や熱伝導性に優れた材料ですが、強度やコストなどの面では注意すべき点もあります。ここでは、設計や材料選定で押さえておきたい主なデメリットを紹介します。

強度・耐摩耗性が低い

純銅は柔らかく延性が高い反面、機械的強度や耐摩耗性はそれほど高くありません。荷重が大きくかかる部品や摺動部品では変形や摩耗が生じやすく、単体で使用できないケースもあります。そのため、高い強度が必要な用途では黄銅や青銅、ベリリウム銅などの銅合金が選択されることが一般的です。

高温で強度が低下する

熱伝導性に優れる一方、温度が上昇すると機械的強度が低下しやすい材料です。特に高温環境で荷重を受ける部品では、変形やクリープが生じる可能性があります。そのため、高温で使用する場合は、使用温度における強度を確認し、必要に応じて耐熱性に優れた銅合金を選定することが重要です。

酸化による変色が起こる

耐食性に優れる一方で、空気中の酸素や水分と反応し、表面が褐色や黒色、さらに長期間では緑青へと変色します。これらの酸化皮膜は腐食を防ぐ役割を持つため性能への影響は小さいものの、外観品質が重視される製品では変色が問題となることがあります。その場合は、めっきやクリア塗装などの表面処理を施すことで外観の維持が可能です。

異種金属との接触による電食に注意が必要

アルミニウムや亜鉛など電位差の大きい金属と接触した状態で、水分や電解質が存在するとガルバニック腐食(電食)が発生することがあります。特に屋外や湿潤環境では接触する金属の腐食が進行しやすくなるため、絶縁ワッシャーを使用する、表面処理を施すなどの対策が必要です。設計段階で異種金属の組み合わせを確認しておくことが重要です。

材料価格が高く変動しやすい

鉄やアルミニウムに比べて材料価格が高く、資源価格や世界的な需要の影響を受けやすい金属です。電気自動車や再生可能エネルギー分野などで需要が増加すると価格が上昇する傾向があり、製品コストへ影響を与える場合があります。

銅の種類

銅には純度の高い純銅のほか、用途に応じてさまざまな元素を添加した銅合金があります。純銅は導電性や熱伝導性を重視する用途に適しており、銅合金は強度や耐摩耗性、加工性などを向上させることを目的に使用されます。ここでは、代表的な銅材料の特徴と主な用途を紹介します。

種類

代表的な材質

特徴・用途

無酸素銅

C1011、C1020

酸素含有量が少なく、純度の高い銅。電気伝導性・熱伝導性に優れ、電子部品や真空部品などに使用される。

タフピッチ銅

C1100

展延性・絞り加工性に優れる純銅。高い導電性・熱伝導性も持ち、電線、端子、バスバーなどに使用される。

りん脱酸銅

C1220

りんを添加して脱酸した純銅。溶接性に優れ、水素脆化を起こしにくい。配管、熱交換器、給湯器などに使用される。

りん青銅

C5191

銅にすずとりんを添加した銅合金。耐疲労性・耐食性に優れ、コネクタ、端子、ばねなどに使用される。

ばね用りん青銅

C5210

りん青銅より硬く、優れたばね性を持つ銅合金。繰り返し荷重を受けるばね、端子、コネクタなどに部品に使用される。

快削りん青銅

C5341

りん青銅に鉛などを添加して切削性を高めた銅合金。複雑な形状への加工に適し、歯車、軸受、機械部品などに使用される。

洋白2種

C7521

銅・ニッケル・亜鉛を主成分とする銅合金。光沢があり、展延性・耐疲労性・絞り性に優れる。機械部品や装飾部品などに使用される。

ベリリウム銅

C1720

高強度と優れたばね性を持つ銅合金。強度と導電性を両立でき、ばね、コネクタ、スイッチ、溶接部品などに使用される。

クロム銅

C18200など

クロムを添加した銅合金。高い導電性と強度を持ち、電極や溶接関連部品など、高温・摩耗環境で使用される。

砲金

CAC406C(BC6)

銅・すずを主成分とする鋳造用銅合金。耐摩耗性や耐食性に優れ、栓、軸受、ブッシュ、ギヤ、ポンプ部品などに使用される。

銅の用途

銅は、銀に次ぐ高い電気伝導性と優れた熱伝導性を持つことから、電気・電子分野を中心に幅広く使用されています。また、展延性や耐食性、非磁性などの特性も活かされ、さまざまな産業分野で利用されています。

電気・電子部品

電気伝導性に優れているため、電線やバスバー、端子、コネクタ、配電盤など、電気を効率よく流す必要がある部品に広く使用されています。電子機器では、プリント基板の配線やリードフレームなどにも使用されます。特に大電流を扱う部品では、電気抵抗が小さく、通電時の発熱を抑えやすい点がメリットです。

放熱・熱交換部品

熱伝導性が非常に高く、熱を効率よく移動させられるため、ヒートシンクや熱交換器、冷暖房機器などに使用されています。電子機器では、発熱する半導体や電子部品から熱を逃がす放熱部品にも利用されます。電気を効率よく流せるだけでなく、発生した熱を素早く伝えられることが銅の大きな特徴です。

自動車・車載部品

自動車では、モーターやインバーター、バッテリー周辺の配線、端子、バスバーなど、電力を扱う部品に銅が使用されています。特に電気自動車では、大電流を効率よく伝える必要があるため、高い電気伝導性を持つ銅が重要な材料となっています。また、車載電子機器のコネクタや配線部品などにも銅や銅合金が使用されています。

医療・磁気関連機器

銅は非磁性材料であるため、磁気の影響を避けたい機器にも使用されています。代表的なものがMRIで、コイルや導線などに銅が使用されています。また、銅が持つ抗菌性を活かし、医療施設のドアノブや手すりなど、人が頻繁に触れる部分に銅合金を使用する例もあります。用途に応じて、導電性や非磁性、抗菌性などの特性が活用されています。

空調・給湯設備

銅は高い熱伝導性に加えて、加工性や耐食性にも優れているため、エアコンや給湯器、熱交換器などの設備に使用されています。配管や熱交換器では、熱を効率よく伝えられることが性能につながります。また、銅は展延性にも優れており、曲げ加工がしやすいため、配管などの加工性が求められる用途にも適しています。


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銅の切削加工事例

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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