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モリブデンの切削加工 | 高融点金属の精密切削加工

モリブデンの切削加工 | 高融点金属の精密切削加工

最終更新日:2026/8/30

本記事の要点

  1. モリブデンは融点約2620℃に達する高融点金属であり、高温環境下での優れた強度と低い熱膨張係数による高い形状安定性を誇る。

  2. 単体部品としてだけでなく、クロムモリブデン鋼やステンレス鋼への合金元素としても使われ、強度・耐熱性・耐食性の向上に貢献している。

  3. 優れた材料である一方、加工の難易度が高く材料コストも高いため、使用環境や要求性能を踏まえて採用を検討することが重要である。


モリブデン(Mo)は、優れた耐熱性や高温強度を持つレアメタルの一種です。融点は約2,620℃と非常に高く、高温環境でも性能を維持しやすいことから、半導体製造装置や真空機器、加熱炉の部品など、過酷な環境で使用される機械部品や設備に幅広く採用されています。

また、鋼材に添加して性能を向上させる合金元素としても重要な役割を担っています。クロムモリブデン鋼(SCM材)やステンレス鋼などに添加され、強度や耐熱性、耐食性の向上に活用されています。本記事では、モリブデンの特徴や注意点、材料特性についてわかりやすく解説します。

モリブデンの特徴

モリブデンは、高温環境で優れた性能を発揮する金属として知られています。耐熱性や高温強度に優れるだけでなく、熱膨張が小さく寸法安定性にも優れているため、精密機器や産業設備など幅広い分野で使用されています。ここでは、モリブデンの代表的なメリットについて解説します。

高い耐熱性

約2,620℃という非常に高い融点を持ち、高温環境でも性能を維持しやすい材料です。熱による軟化や変形が起こりにくく、高温で長時間使用される部品にも適しています。そのため、加熱炉の部品やヒーター部材、半導体製造装置など、耐熱性が求められる用途で広く採用されています。

高温でも強度を維持しやすい

一般的な金属は温度が上昇すると強度が低下しますが、モリブデンは高温下でも機械的強度を維持しやすいという特徴があります。高温で荷重がかかる環境でも変形しにくいため、構造部品や高温治具など、寸法精度や耐久性が求められる用途に適しています。

熱膨張率が小さい

熱膨張率が低く、温度変化による寸法変化が小さい材料です。温度の変化が繰り返される環境でも熱変形を抑えやすく、高い位置精度や寸法精度が求められる部品に適しています。半導体製造装置や真空機器、精密測定機器などで利用される理由の一つです。

熱伝導性に優れる

熱伝導率が比較的高く、発生した熱を効率よく拡散できます。局所的な温度上昇を抑えやすく、熱による変形や熱応力の低減にも役立ちます。放熱性が重要な電子部品や高温設備の部材としても利用されています。

モリブデン材質選定上の注意点

モリブデンは耐熱性や高温強度に優れた材料ですが、加工性やコスト、使用環境によっては注意すべき点もあります。要求性能に応じて適切に材料を選定することが重要です。

加工の難易度が高い

高い強度と硬さを持つため、切削加工では工具摩耗が進みやすく、一般的な鋼材と比べて加工が難しい材料です。また、常温での延性が低く、曲げやプレスなどの塑性加工にも適していません。高い加工精度を得るためには、適切な工具や加工条件の選定が重要です。

材料コストが高い

レアメタルの一種であり、一般的な鉄鋼材料やアルミニウムと比べて材料価格が高い傾向があります。また、加工の難しさから加工コストも高くなりやすいため、高温環境や耐熱性が求められるなど、モリブデンの特性を活かせる用途で採用することが重要です。

高温では酸化しやすい

常温では比較的安定していますが、高温で空気中にさらされると酸化が進みやすいという性質があります。酸化が進行すると表面が劣化し、材料性能の低下につながることがあるため、高温で使用する場合は真空中や不活性ガス雰囲気で使用したり、酸化対策を施したりすることが一般的です。

モリブデンの用途

モリブデンは高い耐熱性や高温強度、熱膨張率の低さを活かし、半導体製造装置や真空炉、加熱炉など、高温環境で使用される設備や部品に広く利用されています。また、熱伝導性や寸法安定性に優れることから、ヒーター部材や電極、熱遮蔽板などにも採用されています。

鋼材への合金元素として用いられることも多く、クロムモリブデン鋼(SCM材)やステンレス鋼、工具鋼などに添加することで、高温強度や焼入れ性、耐摩耗性、耐食性を向上させる目的で幅広く活用されています。

モリブデンの材料特性

ここでは代表的な材料特性を紹介します。

物理的性質

項目

密度

融点

沸点

特性値(代表値)

約10.2 g/cm³

約2,620℃

約4,630℃

熱伝導率

温度

20℃

100℃

500℃

1000℃

1500℃

熱伝導率[W/(m・K)]

142

138

122

105

84

熱膨張率

温度範囲

RT(常温)

RT~100℃

RT~500℃

RT~1000℃

RT~1500℃

線膨張係数[×10⁻⁶/℃]

5.10

5.20

5.70

5.75

6.51

液体との化学反応性

薬品

モリブデンとの反応性

塩酸

加熱した希塩酸には徐々に溶ける。

硫酸

希硫酸にはわずかに溶ける。約110℃までの濃硫酸には徐々に溶け、200℃以上の濃硫酸では速やかに溶ける。

硝酸

容易に溶ける。

水酸化ナトリウム

水溶液にはほとんど影響されないが、溶融アルカリとは急速に反応する。

気体との化学反応性

物質

化学反応性

水蒸気

約700℃で酸化が始まる。

窒素

600℃以上で脆化し、約1500℃以上で窒化物を形成する。

一酸化炭素

約1000℃から炭化物を形成する。

二酸化炭素

約1200℃から酸化物を形成する。

水素

反応しない。

フッ酸

室温でわずかに溶ける。

塩素

約250℃で塩化物を形成する。

ヨウ素

赤熱状態でも反応しない。

アンモニア

室温ではほとんど反応しない。

硫化水素

約1200℃で硫化物を形成する。

※数値は代表値であり、条件によって異なる場合があります。


モリブデンの精密切削加工ならユモパーツへお任せください

YUMO PARTS(ユモパーツ)ではモリブデンやチタンなどの難削材金属の切削加工を材料手配から表面処理までワンストップで承ります。加工実績は特に小径の片手サイズが多く、内径φ3・外径φ4・長さ40のような小さな部品の旋盤加工の事例もあります。モリブデンのような難削材でも、他の材質と同様に小ロット・短納期での対応が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

モリブデンの切削加工事例

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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