PLAの3Dプリント | モックアップ・形状確認の試作に適した材質
最終更新日:2026/7/23
本記事の要点
PLAは、FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリントで用いられる自然由来の樹脂材質である。
低温で造形可能で熱収縮による反りが少なく、高精度な形状試作に向いている。
耐熱温度や耐衝撃性が低いため、力が加わる実用部品や高温環境下での使用には適さない。
PLA(ポリ乳酸)とは
PLA(Poly Lactic Acid:ポリ乳酸)は、トウモロコシやサツマイモなどの植物由来のデンプンを原料とする自然由来のプラスチックです。環境負荷が少ないことからエコプラスチックとも呼ばれています。
FDM(熱溶解積層)方式3Dプリントにおいては最も標準的な造形材料の一つとして広く普及しており、設計・開発の現場でも初期段階の試作に頻繁に活用されています。
PLAの物性値
機械特性 | 数値 | 試験方法 |
|---|---|---|
比重 | 1.24 g/cm³ | ISO1183 |
耐熱温度 | 約53 ℃ | - |
引張強度 | 63 MPa | ISO527 |
曲げ強度 | 85 MPa | ISO178 |
融点 | 168 ℃ | DSC |
シャルピー衝撃強さ | 3.2 KJ/m² | ISO179(23dec) |
※上記データは一般的な一例であり、保証値ではありません。FDM方式の3Dプリンターで造形した部品の強度は、積層方向(Z軸方向の引張には弱い等)やインフィル(内部充填率)、造形時の温度設定などの条件によって大きく変動します。
PLAの特徴とメリット
PLAが設計開発の現場で選定される理由は、主に以下の3点に集約されます。
優れた造形安定性
PLAの最大の特徴は、造形時の必要温度が低く(融点約168℃)、熱収縮率が非常に小さい点です。これにより、造形中の反り(ワーピング)や寸法ズレが起きにくく、造形時間が比較的短く済むという利点があります。反りが少なくエッジが綺麗に出やすいため、外観や嵌合を確認するためのモックアップ・試作品に適しています。
二次加工への対応幅が広い
切削加工、塗装、インサートナットの挿入などの後加工にも一定レベルで対応可能です(ただし熱に弱いため、切削熱への注意が必要)。
カラーバリエーションが豊富
ラック、ホワイト、レッド、ブルー、イエロー、クリアなど、試作の目的に合わせた視認性の高いカラー選択が可能です。
PLA材質選定上の注意点
設計者が部品の材料選定を行う際、PLAの特性を正しく理解しておくことは手戻り防止に直結します。
耐熱性が低い
耐熱温度が約53℃と低く、直射日光の当たる車内や、発熱するモーターの周辺部品などに使用すると、軟化・変形する恐れがあります。
耐衝撃性と脆さ
ABSなどと比較して硬度が高い反面、粘りがなく脆いため、落下や衝撃が加わる実用部品としての使用には不向きです。
吸水による劣化が起こりやすい
空気中の水分を吸収して加水分解を起こしやすいため、長期使用には適していません。
PLAの使い所
設計・開発のフェーズにおいて、PLAは主にデザインレビュー(外観確認)や大まかなアセンブリの確認を行う初期の試作段階で活躍します。
もし、スナップフィット機構の検証を行いたい場合や、ある程度の耐熱・耐衝撃性が求められる機能評価テストに進む場合は、PLAからABS、PA(ポリアミド)等へ材質を変更するか、最終的には切削加工への移行を検討する必要があります。
PLAの3Dプリントによる短納期試作はユモパーツにお任せください
3Dプリントによる試作は、形状確認のスピードアップに非常に有効です。しかし、PLAでの形状確認が終わった後、「実際の機能テストに耐えうる強度が必要になった」「最終製品と同じ材質で検証したい」といった段階に進むと、材質の変更や切削加工などの工法転換が必要になります。
YUMO PARTS(ユモパーツ)では、3Dプリントによる短納期試作はもちろん、切削加工による量産まで、一貫した部品製作をサポートしています。
「現在の試作品の図面を、切削加工用にどう変更すればコストが下がるか?」「どの材質を選べば強度が担保できるか?」といった、設計・開発者さまの実務に寄り添った技術提案を得意としております。
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