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PC-ISOの3Dプリント | 生体適合ポリカーボネートの物性

PC-ISOの3Dプリント | 生体適合ポリカーボネートの物性

最終更新日:2026/7/31

本記事の要点

  1. PC-ISOはISO 10993およびUSP Class Ⅵ認定を取得しており、ガンマ線やEtO滅菌処理が可能な生体適合性ポリカーボネートである。

  2. 医療器具や食品生産ラインの部品製作に適するが、FDM方式の積層痕が衛生面のリスクとなるため、研磨などの二次加工による表面平滑化が必須となるケースが多い。

  3. 荷重たわみ温度127℃などの優れた機械特性を持つが、FDM方式の異方性により積層方向で強度が変動するため、設計時に造形姿勢を考慮する必要がある。


PC-ISOとは

PC-ISOは、FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリントで利用される、高い強度と生体適合性を兼ね備えたポリカーボネートです。医療機器や食品産業など、人体への安全性や厳格な衛生基準が求められる分野での試作から実使用部品の製造まで、幅広く活用されています。

ISO 10993・USP Class Ⅵ認定と滅菌処理への対応

PC-ISOの最大の特長は、生体適合性に関する国際基準である「ISO 10993」および「USP Class Ⅵ」の認定を受けている点です。これにより、皮膚や粘膜に接触するツール、あるいは短期間の血液接触を伴う医療器具への適用が認められています。

また、ガンマ線滅菌やEtO(エチレンオキサイド)滅菌処理に対する耐性を備えており、医療・製薬現場、食品生産ラインにおいて、安全かつ衛生的な運用が可能です。

PC-ISOの主な用途と活用シーン

PC-ISOの特性を活かし、以下のような分野で利用されています。

  • 医療・製薬分野: サージカルガイド、手術用固定具、医療器具のプロトタイプ、製薬ラインの特殊治具

  • 食品包装・生産分野: 食品と直接接触する可能性のある搬送用アタッチメント、パッケージング用ガイド部品、カスタムノズル

PC-ISOの基本仕様と物性値

設計・開発において基準となるPC-ISOの機械特性および仕様を以下にまとめます。

造形仕様と対応可能な二次加工

項目

仕様

造形方式

FDM方式(熱溶解積層法)

カラー

ホワイト

最大造形サイズ

900 × 600 × 900 mm

見た目・質感

積層の凹凸あり

対応可能な二次加工

切削、研磨、塗装、インサート挿入

物性表

機械特性

数値

比重

1 g/cm³

引張強度

68 MPa

弾性率

2.3 GPa

破断伸び

4.8 %

荷重たわみ温度

127 ℃

衝撃強さ(ノッチ付き)

73 J/m

※上記の物性表は一般的な一例(参考値)であり、保証値ではありません。3Dプリント(特にFDM方式)の特性上、積層方向や造形パラメータ、内部充填率等の条件により実際の物性値は大きく変動します。設計時には実環境を想定したテストと安全率の確保を必ず実施してください。

PC-ISO材質選定上のリスク

PC-ISOは優れた材料ですが、FDM方式で造形するゆえの課題も存在します。設計時には以下の技術的課題に留意し、適切な対策を講じる必要があります。

積層痕による衛生リスク

FDM方式の特性上、造形物の表面には微細な積層痕(凹凸)が生じます。生体適合性を持つPC-ISOであっても、医療や食品生産の現場でそのまま使用した場合、この微細な隙間に汚れやバクテリアが繁殖するリスクがあります。

【対策】
衛生管理が厳密な用途では、表面の凹凸を滑らかにする研磨加工や、寸法精度を出しつつ表面を仕上げる切削加工などの後加工を施すことが必須となります。

異方性による強度低下

FDM方式で造形された部品は、積層方向(Z軸方向)に対する引張強度が、X/Y軸方向と比較して著しく低下する異方性を持ちます。

【対策】
部品に大きな荷重がかかる場合、荷重方向に対して積層の向きが平行にならないよう、造形姿勢を事前に指定して3Dプリントを依頼することが重要です。


医療・食品向けPC-ISO部品の3Dプリントならユモパーツへ

PC-ISOは、医療・食品業界の厳しい基準をクリアできる優れた生体適合ポリカーボネートですが、FDM方式特有の積層痕や異方性を考慮した設計の工夫と適切な二次加工が不可欠です。

YUMO PARTS(ユモパーツ)では、PC-ISOを用いた3Dプリントはもちろん、衛生基準を満たすための高精度な研磨加工や切削加工までをワンストップで対応可能です。

「積層痕をなくしてツルツルにしたい」「滅菌処理に耐えうる最適な形状を相談したい」など、設計・開発段階でのお悩みがあれば、ぜひお気軽にYUMO PARTSまでご相談ください。お客様の用途に合わせた最適な造形プランと加工方法をご提案いたします。

YUMO PARTS(ユモパーツ)のポリカーボネート3Dプリント事例

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、アルミ・樹脂から難削材まで200種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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