PP(ポリプロピレン)の3Dプリント | 耐屈曲疲労性に優れた材質の造形
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本記事の要点
PP(ポリプロピレン)は柔軟性・耐屈曲疲労性・耐薬品性に優れた汎用樹脂であり、3DプリントではSLS(粉末焼結積層造形)方式で造形されることが一般的である。
SLS方式で造形したPPは粉末を焼結する製法上、内部にわずかな空隙(多孔質構造)を含むため、比重・引張強度は同じPPの射出成形品と比べてやや低くなる傾向がある。
PPは紫外線による白化・劣化が起こりやすく耐候性に乏しいうえ、概ね-5℃以下の低温では脆化する性質を持つため、屋外用途や低温環境下での採用には代替材料や表面処理などの対策が必要である。
3DプリントにおけるPP(ポリプロピレン)とは
PP(ポリプロピレン)は、PE(ポリエチレン)と並んで生産量の多い汎用プラスチックの一つです。常用の耐熱温度は100〜140℃で、汎用プラスチックの中では最も比重が小さく、0.9〜0.91となっています。
3Dプリントでは、SLS方式での造形が主流です。FDM方式でもPPフィラメントは存在しますが、結晶化に伴う成形収縮率が大きいため反りが課題になりやすく、部品や試作品の製作用途ではSLS方式の実績が中心です。
3DプリントにおけるPPの特徴と主なメリット
高い耐屈曲疲労性
丈夫でありながら曲げやすい特徴があるため、変形させて使用するバネやヒンジ構造、スナップフィットなどの形状に適しています。
優れた耐薬品性
酸、塩基(アルカリ)、アルコールや多くの有機溶媒に侵されにくく、腐食しにくい性質があります。実験器具や薬液に触れる部品などに向いています。
軽量性
SLS方式で造形した場合の比重は0.85程度と、一般的な射出成形PP(0.90〜0.91程度)よりもさらに軽い数値になります。
PPの基本仕様(SLS方式)
項目 | 内容 |
|---|---|
標準色 | ホワイト系 |
表面質感 | 粉末特有のややザラついた質感 |
対応可能な後加工 | 切削・研磨・塗装・インサート挿入 など |
主な用途例 | 収納ケース、実験器具、家電部品、自動車部品 など |
PPの物性値(SLS方式・参考値)
項目 | 単位 | 参考値 |
|---|---|---|
比重 | g/cm³ | 0.85 |
引張強度 | MPa | 21.4 |
引張弾性率 | GPa | 0.91 |
破断伸び | % | 529 |
荷重たわみ温度 | ℃ | 46 |
衝撃強さ(ノッチ付き) | J/m | 35 |
※上記の数値は一般的なSLS方式PPにおける代表的な参考値の一例であり、保証値ではありません。実際の物性は、プリンターの機種やレーザー出力等の造形パラメーター、積層方向による異方性、後処理の有無、試験時の荷重条件などによって変動します。設計時は必ず採用予定の装置・グレードの最新カタログ値を確認し、必要に応じてテストピースでの事前検証を行ってください。
比重が一般的なPPより低くなる理由: 上表の比重0.85は、一般的な射出成形PPの密度(約0.90〜0.91 g/cm³)より低い数値です。これは粉末を焼結する製法上、内部にごく微小な空隙(多孔質構造)を含むことに由来し、SLSに限らず粉末床溶融結合方式に共通する特性です。
PP(3Dプリント材料)選定上の注意点
耐候性が低く、屋外での白化・劣化が起こりやすい
日光にあたると白化していく性質があり、屋外で長期使用する部品には標準グレードのままでは不向きです。
【対策】耐候剤を配合したグレードへの変更や、UVカット塗装などの表面処理を検討してください。
低温環境下での脆化
-5℃以下の低温で、もろくて壊れやすくなります。
【対策】低温環境で使用する部品には、事前の低温衝撃試験による検証をおすすめします。
粉末焼結による表面のザラつきと多孔質構造
SLS方式は粉末を焼結する製法のため、表面には粉末特有のザラついた質感が残り、内部にはわずかな空隙を含みます。
【対策】滑らかな面粗度が求められる部品には研磨・塗装などの後加工を、気密性が必要な部品には含浸処理などを検討してください。
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