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S-C材の切削加工 | 汎用性に優れた機械構造用炭素鋼鋼材の切削加工

S-C材の切削加工 | 汎用性に優れた機械構造用炭素鋼鋼材の切削加工

最終更新日:2026/8/20

本記事の要点

  1. SC材は流通量が多く入手性が高い汎用材料で、切削加工性にも優れ、試作から量産まで幅広い用途で採用されている。

  2. 一般構造用鋼(SS400)と比較して強度や内部品質が高く精密部品に適する一方、溶接時の割れや耐食性の低さには設計上の配慮を要する。

  3. シャフトやギア、ピン、治具など幅広い機械部品に使用され、求められる性能に応じて材種を選定することが重要である。


S-C材とは、「Steel + Carbon」の略称で、JIS G 4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材を指します。炭素(Carbon)の含有量によってS10C、S20C、S35C、S45C、S50C、S55Cなどに分類され、炭素量が多いほど強度や硬度は高くなる一方で、加工性や溶接性は低下する傾向があります。

S-C材は、機械的強度と加工性のバランスに優れ、さらに熱処理によって性能を向上できることから、シャフトやギア、ピン、ボルト、金型部品など幅広い機械部品に採用されています。中でもS45Cは、強度・加工性・コストのバランスが良く、S-C材の代表的な材質として多くの部品に使用されています。

S-C材の特徴

機械的強度が高い

S-C材は、機械構造用炭素鋼として強度と靭性のバランスに優れた材料です。一般構造用鋼であるSS材と比べて機械的強度が高く、荷重が繰り返しかかる機械部品にも幅広く使用されています。特にS45Cは、シャフトやピン、ギア、治具などの定番材料として多く採用されています。一方で、炭素量が増えるほど強度は向上しますが、靭性や加工性は低下する傾向があるため、使用環境や必要な性能に応じて材質を選定することが重要です。

熱処理によって性能を向上できる

S-C材の大きな特徴は、焼入れ・焼戻しなどの熱処理によって機械的性質を大きく向上できる点です。熱処理を施すことで硬度や耐摩耗性、疲労強度が向上し、長期間の使用でも摩耗や変形を抑えやすくなります。そのため、高い耐久性が求められる軸や歯車、金型部品などにも多く採用されています。ただし、熱処理後は寸法変化や歪みが発生する場合があるため、加工順序や仕上げ代を考慮した設計が重要です。

切削加工性に優れる

S-C材は切削加工性と機械的強度のバランスが良く、旋盤加工やフライス加工、穴あけ加工など幅広い加工方法に対応できます。特に熱処理前の状態では比較的加工しやすく、高精度な機械加工にも適しています。一方、焼入れ後は硬度が大きく向上するため切削性が低下し、工具摩耗が進みやすくなります。そのため、一般的には切削加工を行った後に熱処理を施し、必要に応じて仕上げ加工を行う工程が採用されています。

流通量が多く、入手性が高い

SC材は機械部品で広く使用されている汎用材料であり、規格材の種類やサイズが豊富に流通しています。そのため、比較的短納期で調達しやすく、試作から量産まで幅広い用途で採用されています。また、価格も特殊鋼と比べて抑えられるため、コストを重視する設計にも適しています。さらに、JIS規格によって化学成分や機械的性質が規定されているため、品質が安定しており、設計段階で性能を見積もりやすい点もメリットです。

S-C材の種類

S-C材には、炭素の含有量によって種類があります。JIS規格ではSとCの間の「-」に2桁の数字が入っています。これは炭素量を100倍した数値でS45Cは炭素量0.45%、S50Cは炭素量0.50%であることを示しています。炭素量が多くなるほど強度や硬度、耐摩耗性は向上しますが、加工性や溶接性は低下する傾向があります。

ここでは代表的なS-C材の種類と、それぞれの特徴や主な用途について解説します。

材質

特徴

S35C

強度と靭性のバランスが良く、熱処理による性能向上も期待できる。

S45C

S-C材の代表的な材質。熱処理により高い強度・耐摩耗性を得られ、靭性とのバランスに優れる。

S50C

S45Cより高い強度・硬度を持ち、耐摩耗性に優れる。

S55C

S-C材の中でも炭素量が多く、高硬度が得られる一方、加工性や溶接性は低い。

S-C材選定上の注意点

耐食性が低く、防錆対策が必要

S-C材は鉄を主成分とするため耐食性は高くなく、水分や湿気の多い環境では錆が発生しやすい材料です。そのため、屋外で使用する部品や長期間保管する部品では、防錆対策を前提に設計する必要があります。用途に応じて黒染めや無電解ニッケルめっき、亜鉛めっき、塗装などの表面処理を施すことで耐食性を向上させることが可能です。使用環境に合わせて適切な表面処理を選定することが、部品寿命の向上につながります。

溶接には注意が必要

S-C材は炭素量が多くなるほど溶接性が低下し、溶接部に割れや硬化が発生しやすくなります。特にS45C以上では、溶接時の急冷によって硬く脆い組織が形成されることがあるため、予熱や後熱処理などの対策が必要になる場合があります。溶接を前提とした構造では、強度だけでなく溶接性も考慮して材質を選定することが重要です。用途によっては、SS材や低炭素鋼の方が適しているケースもあります。

加工担当者から見たS45CとSS400の違い

SS400とS45Cだと、炭素の含有量の多いS45Cの方が硬度が高いです。この数値で見ると、S45Cの方が切削加工が難しく、一般的にはその解釈になります。

しかし、加工者視点ではS45Cのほうが切削加工が簡単だと感じることが多いです。実はS45Cは炭素量のおかげで、粘さが少ないことが加工に有利に働きます。

SS400は粘さにより加工面の仕上がりが安定せず、加工が難航することがあります。硬度は切削を難しくする要因の一つに過ぎず、硬度が高いほうが必ずしも難しいわけではありません。


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S-C材の切削加工事例

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、アルミ・樹脂から難削材まで200種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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