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アロジン処理(アルミニウムの化成処理)とは?特徴と適用時の注意点

アロジン処理(アルミニウムの化成処理)とは?特徴と適用時の注意点

最終更新日:2026/9/2

本記事の要点

  1. アロジン処理は、アルミニウム表面に化成皮膜を形成する表面処理であり、耐食性や塗装・接着性を向上させながら、導電性や寸法精度を維持できることが特徴である。

  2. アロジン処理は、電子機器や半導体製造装置、航空機部品など高い信頼性が求められる分野で採用されており、MIL-DTL-5541などの規格にも対応する実績のある表面処理である。

  3. アロジン処理とアルマイト処理は用途が異なり、導電性や寸法精度を重視する場合はアロジン処理、耐摩耗性や高い耐食性を重視する場合はアルマイト処理を選定することが重要である。


アロジン処理とは、アルミニウムやアルミニウム合金の表面に化成皮膜を形成し、耐食性や塗装・接着性を向上させる表面処理です。皮膜は非常に薄いため寸法変化がほとんどなく、アルミニウムの導電性を比較的維持できることが特徴です。この記事ではアロジン処理の性質と設計時の注意点を解説します。

アロジン処理の主な特徴とメリット

アロジン処理は、耐食性の向上だけでなく、導電性の維持や塗装・接着性の向上など、多くのメリットを備えた表面処理です。ここでは、アロジン処理が選ばれる主な理由について紹介します。

耐食性の向上

アロジン処理は、アルミニウム表面に非常に薄い化成皮膜を形成することで、腐食の原因となる水分や酸素、塩分などが母材に到達しにくくなり、耐食性を向上させます。特に白サビの発生を抑制する効果があり、屋内環境や一般的な使用環境で部品の耐久性を高めることが可能です。

耐食性はアルマイト処理ほど高くないため、海浜地域や屋外など厳しい腐食環境では、使用条件に応じて適切な表面処理を選定することが重要です。

導電性を維持できる

皮膜が非常に薄いため、アルミニウムの導電性を比較的維持できることが大きな特徴です。アルマイト処理では酸化皮膜によって表面が絶縁性を持つのに対し、アロジン処理はアース接続部や電気的な接触が必要な箇所にも適用しやすい表面処理です。そのため、電子機器や半導体製造装置、航空機部品など、耐食性と導電性の両立が求められる用途で広く採用されています。

塗装・接着の密着性が向上する

アロジン処理によって形成される化成皮膜は、塗料や接着剤との密着性を高める効果があります。特にアルミニウムはそのままでは塗装や接着の密着性が十分でない場合があるため、アロジン処理は塗装前や接着前の下地処理として広く採用されています。

寸法精度への影響が小さい

アロジン処理で形成される皮膜は一般的に0.2~2μm程度と非常に薄いため、部品の寸法変化がほとんどありません。そのため、公差の厳しい精密部品や、はめ合い部、ねじ部など寸法精度が求められる部品にも適用しやすい表面処理です。

処理コストを抑えられる

アルマイト処理と比較して工程が比較的シンプルで処理時間も短いため、コストを抑えやすい表面処理です。高い耐摩耗性や装飾性を必要としない部品では、コストと性能のバランスに優れた表面処理として多く採用されています。

アロジン処理の注意点

アロジン処理には多くのメリットがある一方で、用途によっては注意すべき点もあります。処理の特性を理解し、使用環境や要求性能に応じて適切に選定することが重要です。

耐摩耗性の向上には適さない

アロジン処理で形成される化成皮膜は非常に薄いため、耐摩耗性や表面硬度を大きく向上させることはできません。摺動部や頻繁に接触・摩擦が発生する部品では、皮膜が摩耗しやすく、十分な耐久性が得られない場合があります。そのため、耐摩耗性を重視する用途では、硬質アルマイト処理や無電解ニッケルめっきなど、用途に応じた表面処理を検討することが重要です。

アルマイト処理ほど耐食性は高くない

アロジン処理はアルミニウムの耐食性を向上させますが、皮膜が薄いため、アルマイト処理ほど高い耐食性能は得られません。屋外や海浜地域、薬品を使用する環境など、腐食のリスクが高い用途では十分な耐久性を確保できない場合があります。使用環境や求められる耐久性を考慮し、必要に応じてアルマイト処理などのより高耐食な表面処理を選定することが重要です。

六価クロム系は環境規制の対象となる

従来のアロジン処理には六価クロムを使用するものがあり、優れた耐食性や自己修復性を備えています。一方で、六価クロムは人体や環境への影響が懸念されており、RoHS指令やREACH規則などの環境規制の対象です。そのため、近年は環境負荷の低い三価クロム系化成処理への切り替えが進んでおり、製品の要求仕様や輸出先の規制に応じた処理方法の選定が求められます。

加工後は耐食性が低下する場合がある

アロジン処理後に切削加工や穴あけ加工を行うと、新たに露出した加工面には化成皮膜が存在しないため、その部分の耐食性が低下する可能性があります。そのため、基本的には機械加工を完了してからアロジン処理を施すのが一般的です。加工工程との順序を考慮し、必要に応じて再処理を行うことで、部品全体の耐食性を維持できます。

アロジン処理とアルマイト処理の違い

アロジン処理とアルマイト処理は、どちらもアルミニウムに施される代表的な表面処理ですが、目的や得られる性能が大きく異なります。使用環境や要求性能に応じて適切な処理を選択することが重要です。

アロジン処理とアルマイト処理の比較

項目

アロジン処理

アルマイト処理

処理方法

化成処理

陽極酸化処理

耐食性

耐摩耗性

表面硬度

ほとんど変化しない

大幅に向上する

導電性

◎(比較的維持)

×(絶縁性を持つ)

寸法変化

ほとんどない

皮膜厚を考慮する必要がある

塗装・接着性

処理コスト

比較的安価

比較的高価

主な用途

電子機器、航空機部品、塗装下地

機械部品、外装部品、摺動部品

アロジン処理のMILスペック

アロジン処理は、航空宇宙や防衛分野など高い信頼性が求められる用途でも採用されており、米国国防総省(DoD)が定めるMIL-DTL-5541が代表的な規格として広く用いられています。この規格では、耐食性や塗装密着性、導電性などの性能基準が定められており、品質や性能が保証された処理として評価されています。そのため、航空機や電子機器、半導体製造装置など、信頼性が重視される部品にも数多く採用されています。


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アロジン処理(アルミニウムの化成処理)とは?特徴と適用時の注意点

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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