ホームkeyboard_arrow_right参考資料keyboard_arrow_right技術資料keyboard_arrow_right

ベークライトとは?ベークライトの特徴を解説

ベークライトとは?ベークライトの特徴を解説

2025/12/22

ベークライトはエンジニアリングプラスチックの一つで、耐熱性・電気絶縁性・機械的強度・耐薬品性・コストパフォーマンスなど、様々な強みがあります。比重は1.4、耐熱温度は-50℃~130℃(布ベークは-50℃~140℃)です。紙ベークライト、布ベークライトのそれぞれに原色である茶色と黒色と2種類のカラーがあります。

ベークライトとは

ベークライトは熱硬化性のフェノール樹脂の一種です。正式名称はポリオキシベンジルメチレングリコールアンハイドライドで、縮合重合によってできる立体網目構造(架橋高分子結合)の強固な分子構造が分子の熱運動を制限し、高い機械的強度と耐熱性の要因となっています。

紙もしくは布を基材とした積層板として流通しており、機械的強度と耐熱性が高く、さらに安価であることから使いやすく、汎用的な素材としてさまざまな場面で利用されています。

ベークライトの優れた特徴

機械的強度

ベークライトは機械的強度に優れた素材です。その強みを活かして軸受け・ギアなどの各種治具や、半導体の製造装置(当板、ファンクションチェッカー板)などの引張強度や耐衝撃性を必要とする様々な場面で使用されています。

機械的強度は、外部から加えられた圧縮や引張など物理的な力に対して物質が持つ耐久力(変形や破壊の程度)のことを指し、大きく「引張強度」「衝撃強度」「曲げ強度」の3つに分類されます。

引張強度(単位:N/mm2)

ベークライトの引張強度は約65N/mm^2です。引張強度とは、材料を引張り破断するまでに生じた力から求められる強度のことです。N/mm^2(ニュートンパー平方ミリメートル)は、1mm^2(1平方ミリメートル)あたり何N(ニュートン)の力が加わったかを表す単位です。

1Nは地球上でリンゴ1個分(約100gの物体)を受け止めた時に感じる圧力なので、ベークライトの引張強度65N/mm^2は理論上、1mm^2の範囲においてリンゴ65個を受け止めたのと同等の引張まで耐えることができる強度と言えます。

比較として他の材質の引張強度を3つ挙げます。PVCの引張強度が56N/mm^2、PCが62N/mm^2、鋼材のSS400が品名通り400N/mm^2です。引張強度においては紙ベークライトが布ベークライトよりやや優れています。

なお、引張強度を表す単位は他に「MPa(メガパスカル)」もありますが値はN/mm^2と同じです。また「kgf/mm²(キログラムフォースパー平方ミリメートル)」で表されることもありますが、1kgf/mm²≒9.8N/mm^2と換算できます。

特に布ベークは紙ベーク以上に高い強度を誇るため、強度が必要な用途で重宝されることが多いです。ただし、ベークライトは積層構造であるため、層に垂直な方向の力には強いですが並行方向(横方向)の力には比較的弱いという特徴があります。

衝撃強度(アイゾット衝撃強度、単位:J/m)

紙ベークライトのアイゾット衝撃強さは21~40J/m、布ベークライトは50~100J/mです。

アイゾット衝撃強度は「J/m」という単位で表されます。この衝撃強度の試験方法は、材料の試験片を片端だけ固定し、反対側をノッチ(切り込み)が付いた方向から振り子型ハンマーで打ち込み、破壊させたときの衝撃値を測定します。

比較としてPPのアイゾット衝撃強度が30J/m、MCナイロンが50J/m、POMが63J/mです。布ベークライトは50~100J/mと、他のエンジニアリングプラスチックと比較しても高い衝撃強度を持つことが分かります。

曲げ強度 (単位:N/mm2)

曲げ強度とは、曲げ試験において試験片が破壊されるまでに要した最大曲げ応力です。つまり、曲げる力に対してどの程度耐えうるかを示す指標です。

ベークライトの曲げ強度は最大195N/mm^2程度です。POMの曲げ強度が88N/mm^2、MCナイロンが110N/mm^2、PTFEは180N/mm^2なので、ベークライトはこれらの材質より高い曲げ強度を持つと言えます。

耐熱性

ベークライトの耐熱温度は-50~130℃程度と、プラスチック素材の中で高い耐熱性を持ちます。その優れた耐熱性を活かして配電盤・遮断機・変圧器・ボリューム・ソケット・モーター部品、スイッチや取っ手など、高温下で使用される部品に重宝されています。

絶縁性

ベークライトは絶縁性にも優れる材質で、変圧器・スイッチ・ソケット・電線ケーブルカバーなどの漏電やスパークの防止など絶縁性が求められる部品として活躍しています。

ところで、絶縁性に優れるとは具体的にどういった状態を指すのでしょうか。物質は電気抵抗率が低い(電気をよく通す)導体、電気抵抗率が大きい(電気を通しにくい)絶縁体、導体と絶縁体の中間程度の電気抵抗率を持つ半導体に分けられます。

電気抵抗率はΩ(オーム)という単位で表され、この値が大きいほど電気を通しにくくなります。導体の電気抵抗率は10-⁸、絶縁体は10¹⁰以上です。ベークライトの電気抵抗率は10¹²~10¹⁵なので絶縁体に分類されます。

また、POMやエポキシガラスも同程度の電気抵抗率です。PEEKやPBTのようなスーパーエンジニアリングプラスチックは、ベークライトよりもさらに高い電気抵抗率を示します。しかし、ベークライトは絶縁体として十分に用途を満たすと言えますし、 コストメリットの観点からも絶縁体として優れた材質として挙げることができます。

耐薬品性

ベークライトは耐薬品性に優れ、多くの薬品に対して耐性を持ちます。ただし、アルカリ性の薬品と、強酸の薬品への耐性は低いため、これらの薬品を使う環境では使用薬品の確認が必要です。

ベークライトは原料の生成時にアルカリ触媒による縮合反応が必要であるため、空気中のアルカリ成分(塩基)と相溶性が高い状態です。その結果、水酸化物イオンOH-の発生を伴う化学反応が進むため、アルカリへの耐性が低い材質となります。

ベークライトで注意が必要な性質

耐候性

耐候性とは、その部品を特に屋外で使用する場合に太陽光・温度・湿度・雨など外的要因によって変形・変色・劣化等の変質を起こしにくい性質のことを指します。ベークライトは比較的耐候性が低く、長期間に渡って使用する場合は変色が避けられません。使用期間が長くなるにつれて徐々に赤褐色になっていきます。

変色の原因はベークライトの製造工程にあります。原料の生成にアルカリ触媒を用いるため、空気中のアルカリ成分(塩基)と相溶性が高くなります。その結果として化学反応が進みやすく変色につながります。

経年による変色を避けたい場合は、変色がほとんど無い黒ベークライトをおすすめします。なお、変色しても物性上の劣化は無く、むしろ変色するというベークライトの特徴を逆手に取ってピアノの鍵盤をはじめとした楽器類や、コップの取手など家具類に多く採用される例もあります。

これは赤褐色に変色することで、アンティークな高級家具の色調を再現することができるためです。家具に使用されることが多い木材は外観の変化だけでなく物性上の劣化も避けられませんが、ベークライトであればそうした心配がありません。

寸法安定性

ベークライトは反りが発生しにくい材質です。反りによる変形が発生しにくく、その点での形状の安定性は高いと言えます。しかし、吸水性が比較的高いことや、その他加工時に気をつけるべき点もあります。

例えば、加工時の公差は他の樹脂と同様に0.01mm単位まで狙うことが可能ですが、加工数が多くなると、刃物の摩耗が早いため数を追うごとに寸法が出にくくなります。

また、同じ刃物で加工を続けていると寸法の狂いや、摩耗による熱が発生し、材料や切削面に焼け付きや変形が出ることがあります。刃物の選定や加工方法などが他のプラスチック素材とは異なるため、注意が必要です。

耐摩耗性

ベークライトの耐摩耗性は高くはなく、比較的摩耗しやすい材質です。

耐摩耗性とは摩擦や研磨など機械的動作による摩擦面の消耗を抑止する性能を指し、駆動部品やベアリングなど優れた耐摩耗性が求められる場合は、UHMW(超高分子ポリエチレン)やMCナイロンなどの材質が適当な選択肢になります。

上記の材質と比較するとベークライトは摩耗しやすく、それは切断、切削加工時に非常に小さな切り粉が出やすいことからも想像できます。

また、紙ベークライトに比べて、布ベークライトはより高い強度と耐摩耗性を発揮します。紙ベークライトは紙に原料を含浸させるのに対し、布ベークライトは布に原料を含浸させます。紙に比べて布の方が強度に優れるため、必然的に布ベークライトの方が高い強度と耐摩耗性を持つことになります。 

硬度が高いのに摩耗しやすい理由

一般的に硬度が高い素材は耐摩耗性も高い特徴があります。しかしベークライトは硬度の高い材質でありながら耐摩耗性が低い一見矛盾した性質を持っています。

その原因としては、ベークライトのようなフェノール樹脂積層板は、基材に樹脂を含浸したものを熱硬化させて製造している関係上、表面に樹脂成分と基材成分が混在した状態であることが挙げられます。

基材部分は硬度面に影響がなくても、摩耗の影響は受けるため表面硬度が高くても摩耗しやすくなっています。

まとめ

フェノール樹脂の積層板であるベークライトは、機械的強度に優れプラスチック素材の中では珍しい特徴を持った材質です。積層面を考慮することで、ギアなどの部品でも高い強度を発揮することができます。

強度と耐熱性に優れ、絶縁性の高い素材を選びたい場合は、ベークライトが選択肢に入ってきます。補う加工方法を採ることができても、摺動性の点では他のMCナイロンなどの方が優れているので、摺動部品ではそちらを選択するのが適当です。

また、特に紙ベークライトは安価な素材です。同じ汎用的な素材であるPOMやMCナイロンのナチュラル材と比較しても安価です。強度や耐熱性に優れ、さらに安価であることから使いやすい素材として候補に挙げることができます。


YUMO PARTSでは、切削加工によるベークライト加工サービスを提供しています。機械・装置部品の試作と本製作を1個から承ります。短納期で高品質の部品調達は、当社にお任せください。

こんなお困りごとを解決します

「材質ごとに発注先を分けるのが面倒」

「加工知識がないから最善の条件になっているか分からない」

「突発的な急ぎ案件の納期調整が手間」

お電話でのお問い合わせ

06-6976-3366

受付時間 8:30~17:30(土日・祝日を除く)