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PBTの切削加工 | 有機溶剤・油に長期耐性を持つエンプラの選定ポイント

PBTの切削加工 | 有機溶剤・油に長期耐性を持つエンプラの選定ポイント

最終更新日:2026/10/19

本記事の要点

  1. PBTは、耐薬品性や成形性に優れ、吸水率が低く寸法安定性にも優れた熱可塑性ポリエステル樹脂で、自動車の電装部品や電気・電子部品に幅広く使用されている。

  2. ガラス繊維強化や難燃、摺動、耐加水分解など、用途に応じてさまざまな機能を持たせたグレードが展開されている。

  3. 高温・高湿度環境での加水分解や低温時の耐衝撃性低下、成形収縮などに注意し、使用環境に適したグレードを選定することが重要である。


PBT(ポリブチレンテレフタレート)とは

PBT(ポリブチレンテレフタレート)は、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールを原料とする熱可塑性ポリエステル樹脂です。耐薬品性や成形性、電気絶縁性に優れるほか、吸水率が低く、湿度による寸法変化が比較的小さいことが特徴です。コネクタやスイッチなどの電気・電子部品から、自動車の電装部品、機械部品まで幅広い用途で使用されています。ガラス繊維や難燃剤などを添加することで、強度・剛性や難燃性、耐加水分解性などを高めたさまざまなグレードが展開されています。

PBTの基本物性・特性

比重

耐熱温度

電気特性

寸法安定性

耐摩耗性

耐衝撃性

すべり特性

引張強さ

曲げ強度

アイゾット衝撃強さ

1.31

140℃

絶縁

○

△

○

○

50MPa

95MPa

39J/m

※上記の数値・評価は代表的なグレードにおける目安であり、製品やグレード、使用環境によって異なります。材料選定の際は、メーカーの最新仕様をご確認ください。

PBTの特徴とメリット

吸水率が低い

PBTはPA(ポリアミド)などのエンジニアリングプラスチックと比較して吸水率が低い材料です。水分を吸収しにくいため、吸湿による寸法変化や機械的特性の変化が小さく、湿度の影響を受けにくい部品に適しています。特に、寸法精度や電気特性の安定性が求められる電気・電子部品などに使用されています。

耐薬品性に優れる

油類や有機溶剤などに対して比較的優れた耐薬品性を持っています。そのため、薬品や油に接触する可能性がある自動車部品や機械部品などにも使用されています。自動車部品においては、エンジンオイルやガソリン、不凍液などに接触する箇所での使用に適しています。ただし、強酸や強アルカリ、一部の高温多湿環境では加水分解が進行しやすい性質があるため、使用条件によっては注意が必要です。

成形性が良好

結晶化速度が速く、流動性にも優れているため、射出成形における成形サイクルを短縮しやすい材料です。薄肉部や複雑な形状への充填性も良好で、生産性の高い量産部品の設計に向いています。また離型性も良く、成形品のヒケや変形が少ないため、外観品質や寸法精度が求められる部品にも適用しやすいという利点があります。

電気絶縁性に優れる

優れた電気絶縁性を持つため、電気・電子部品の絶縁材料として使用されています。特に、コネクタ、スイッチ、リレー、センサーなど、導電部品同士を絶縁する必要がある部品に適しています。また、難燃性を付与したグレードもあり、電気・電子機器など安全性が求められる用途にも使用されています。

ガラス繊維強化により強度を向上できる

PBTはガラス繊維を添加した強化グレードが豊富に用意されており、設計の自由度が高いことも大きなメリットです。ガラス繊維強化により、引張強度や曲げ弾性率などの機械的強度が大幅に向上し、荷重がかかる構造部品への適用が可能になります。熱変形温度も上昇するため、高温環境下での使用にも耐えられるようになります。

PBT材料選定上の注意点

耐候性が低い

紫外線などの影響によって劣化しやすく、屋外で長期間使用する用途には注意が必要です。変色や表面劣化、機械的特性が低下する場合があります。屋外で使用する場合は、紫外線吸収剤や安定剤を添加した耐候グレードを選定したり、塗装や表面コーティングによって紫外線から保護したりする対策が取られます。

加水分解しやすい

PBTはポリエステル系の樹脂であり、高温・高湿度の環境では水分による加水分解が進みやすい材料です。加水分解が進行すると分子鎖が切断され、引張強度や靭性などの機械的特性が低下する可能性があります。そのため、高温・高湿度環境で使用する場合は、耐加水分解性を高めたグレードを選定することが重要です。

低温では耐衝撃性が低下する

低温環境では分子鎖の動きが抑えられることで、常温時と比較して靭性が低下し、衝撃に対して脆くなる傾向があります。低温環境で落下や衝突などの衝撃荷重が加わる部品では注意が必要です。耐衝撃性を向上させたグレードやアロイ材料を選定することで、低温環境下での信頼性を高めることができます。

成形収縮が大きい

PBTは結晶性樹脂であるため、非晶性樹脂と比較して成形時の収縮が大きくなりやすい材料です。ガラス繊維強化PBTでは、ガラス繊維の配向によって収縮率に方向性が生じ、反りや寸法差につながる場合があります。

PBTのグレード

種類

特徴

主な用途

標準グレード

電気絶縁性、耐薬品性、寸法安定性などをバランスよく備える

コネクター、スイッチ、電子機器のハウジング、自動車部品など

ガラス繊維強化(GF)グレード

強度・剛性・耐熱性・寸法安定性が高められている

自動車部品、コネクター、電気・電子機器のハウジング、機構部品など

難燃グレード

難燃剤の添加によりUL94 V-0等の難燃規格に対応する

コネクター、スイッチ、端子台、電気・電子機器のハウジングなど

摺動グレード

PTFE・シリコーンオイル・グラファイト等を添加、摩擦や摩耗が抑えられ、摺動部品に適する

ギヤ、軸受、カム、ローラーなど

高流動グレード

流動性を高め、薄肉・複雑形状の成形に適する

薄肉コネクター、精密電子部品、自動車用コネクターなど

耐衝撃グレード

エラストマーを配合し、靭性や耐衝撃性を高め、衝撃による破損を抑える

自動車部品、コネクター、ハウジング、機械部品など

耐加水分解グレード

高温・高湿度環境での加水分解による性能低下を抑える

自動車のエンジンルーム部品、コネクター、センサー部品など

導電性グレード

カーボンファイバー等を配合し、電気抵抗を大幅に低減(帯電防止〜導電性まで調整可)

センサー部品、電子機器部品、帯電防止部品、電磁波シールド部品など


PBTの精密切削加工はユモパーツにお任せください

YUMO PARTS(ユモパーツ)ではPBTをはじめとする樹脂や各種金属など、多材質の精密切削加工で豊富な加工実績がございます。「最適なグレードについて知りたい」「加工時の懸念点について相談したい」等、開発段階からのご相談も大歓迎です。見積もり回答は最短2時間。ぜひお気軽にお問い合わせ・お見積りください。

YUMO PARTS(ユモパーツ)のPBT切削加工事例

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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