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炭素鋼とは?種類と特徴、鋼種の最適な選び方

炭素鋼とは?種類と特徴、鋼種の最適な選び方

最終更新日:2026/8/28

本記事の要点

  1. 炭素鋼は鉄と炭素の合金であり、炭素含有量が増加するほど硬度と引張強さが向上する反面、靭性が低下し脆くなる性質を持つ。

  2. 炭素量に応じて低炭素鋼・中炭素鋼・高炭素鋼に分類され、SS材(構造用)、S-C材(機械部品用)、SPC材(板金用)、SK材(工具用)など用途別の規格が存在する。

  3. 強度が不要な部品には加工性の高い材料、耐摩耗性や高強度が必要な部品には熱処理を前提とした材料など、適切な材料選択が重要である。


炭素鋼とは

炭素鋼とは、鉄を主成分として微量の炭素を含有する材料です。一般的に鋼鉄(スチール)と呼ばれ、機械部品や構造物に最も広く使用されている金属材料です。主成分の鉄と炭素以外にも製造時に残ったケイ素・マンガン・リン・硫黄・銅などの微量元素を含みます。

炭素鋼の特徴は、炭素含有量によって機械的性質が変化するという点です。炭素の含有量が高いほど、熱処理(焼入れなど)によって鋼としての硬度や引張強さは向上します。しかし同時に、靭性(粘り強さ)が低下し、衝撃に対して脆くなるというトレードオフの関係にあります。

鉄と鋼の違い

炭素含有量が0.02%未満のものは「鉄(純鉄)」と呼ばれます。純鉄は非常に軟らかく強度が低い上に、サビやすく、切削などの機械加工も困難です。一般的な工業用製品の構造材料としては向いておらず、研究用素材やMRI装置などの特殊な機能材料に使われます。鉄にわずかな炭素を融け合わせることで、初めて「強度」「靭性(粘り強さ)」「加工性」を兼ね備えた、実用的な「鋼」になります。

炭素含有量による炭素鋼の分類

鉄・鋼鉄・鋳鉄

JIS規格における炭素の含有量に基づく分類は以下の通りです。一般的な呼称と規格上の分類名が異なる場合があるため、材質選定の際は注意が必要です。

一般名称

炭素含有量

JIS呼称

特徴

0.02%未満

純鉄

非常に軟らかく、工業用の構造材料としては不向き。

鋼鉄

0.02%~2.14%

鋼鉄

硬さと強さを両立するバランスの良い状態。加工・熱処理に最適。

鋳鉄

2.14%~6.67%

硬いが非常に脆い。溶かして型に流し込む鋳物(いもの)に利用。

本記事に記載されている炭素含有量、機械的性質に関する指標は、一般的な基準に基づく一例です。厳密な強度計算を行う際は、必ず材料メーカーの最新のミルシートやJIS規格表をご参照ください。

鋼鉄の中での3つの分類

鋼鉄の中でも、炭素の含有量によってさらに以下の3つに分類されます。

種類

炭素量

特徴

低炭素鋼

0.02~0.25%

軟らかく、伸びが良いため、曲げ加工性や溶接性に優れる。

中炭素鋼

0.25~0.6%

強度と加工性のバランスが良く、熱処理(調質)による強度向上が期待できる。

高炭素鋼

0.6~2.14%

硬く、耐摩耗性に優れる一方、加工が難しく、溶接には不向き。

代表的な炭素鋼の種類と特徴・最適な用途

JIS規格で定められた実用上の分類で、4つの代表的な炭素鋼について解説します。

SPC材(冷間圧延鋼板)

SPC(Steel Plate Cold)材は、炭素含有量が0.1%未満の低炭素鋼で、板材としてのみ流通しています。

非常に軟らかく伸びやすいため、プレス加工や深い絞り加工、曲げ加工などの冷間成形性に極めて優れています。強度面では他の鋼材に劣るため、強度が必要な部材には不向きです。また、表面が非常にサビやすいため、加工後の塗装やメッキ処理(防錆処理)が必須となります。

代表鋼種:SPCC
用途:家電製品の筐体、ワッシャー、自動車のボディパネルなど

SS材(一般構造用圧延鋼材)

SS(Steel Structure)材は、炭素含有量が0.1~0.3%(低炭素鋼~中炭素鋼)の鋼材です。SS400の「400」という数字は、引張り強さの最小保証値(400MPa)を表しています。

最も広く流通しており、安価で入手性が高く、切削加工性や溶接性に優れています。炭素含有量が少ないため、焼入れなどの熱処理による硬度向上は期待できません。また、サビやすいため、めっきや塗装処理をして使われることがほとんどです。

代表鋼種:SS400
用途:建築物、車両などの構造部材

S-C材(機械構造用炭素鋼鋼材)

炭素含有量が0.1~0.6%の中炭素鋼です。S45Cのように、S(Steel)とC(Carbon)の間に炭素含有量(この場合は0.45%付近)を表記します。

SS材よりも炭素量が多く、熱処理(焼入れ・焼戻し=調質)を行うことで高い機械的強度と耐摩耗性を得ることができます。炭素当量が高いため、溶接時に急冷されると溶接割れ(低温割れ)を引き起こすリスクがあり、溶接には不向きです。

代表鋼種:S45C、S50C
用途:歯車、シャフト(軸)、ピン、ボルトなど強度や耐摩耗性が要求される部品や、精密機械部品

SK材(炭素工具鋼鋼材)

SK(Steel Kougu)材は、炭素含有量が0.6~2.14%の高炭素鋼です。SとKの後に炭素含有比率を示す数字が続きます。(例:SK95=炭素量約0.95%)

熱処理によって極めて高い硬度と耐摩耗性を発揮します。一定以上の高温環境下では焼戻し軟化現象が起こり、硬度が低下します。高温になる部位には不向きで、合金元素を添加した合金工具鋼を選定する必要があります。

代表鋼種:SK85、SK95
用途:刃物、治工具、金型部品など

設計者のための炭素鋼比較表

各鋼種の特性を比較表にまとめました。コスト、強度、加工性のバランスを見極め、オーバースペックにならない適切な材料選定を行いましょう。

鋼種分類

代表鋼種

主な特性

最適な用途

SPC材

SPCC

・軟らかい
・プレス、曲げ加工に最適
・サビやすい
・溶接性良好

プレス部品、筐体

SS材

SS400

・安価
・加工性、溶接性良好
・強度は中程度

建築物、車両などの構造物

S-C材

S45C
S50C

・強度が高い
・熱処理で硬度UP
・溶接には不向き

シャフト、歯車、機械駆動部品

SK材

SK85
SK95

・硬度、耐摩耗性に優れる
・靭性は低い
・一定以上の高温で軟化

刃物、治具、金型


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炭素鋼とは?種類と特徴、鋼種の最適な選び方

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、樹脂から難削金属まで286種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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