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熱溶解積層(FDM)方式とは | 樹脂・金属FDM方式の精度・強度

熱溶解積層(FDM)方式とは | 樹脂・金属FDM方式の精度・強度

最終更新日:2026/7/27

本記事の要点

  1. 熱溶解積層(FDM)方式は、熱可塑性樹脂や金属バインダー混合材料をノズルから押し出し、一層ずつ積層して造形する3Dプリント技術である。

  2. 汎用樹脂から高機能樹脂まで対応できる反面、ノズル径による微細形状の再現性の限界や、積層方向(Z軸方向)の境界面における強度低下という技術的課題が存在する。

  3. 金属FDM方式は造形後に脱脂・焼結工程を要し、焼結時の体積収縮を見越した設計が必要となるが、試作や治具製作のリードタイム短縮に大きく寄与する。


熱溶解積層(FDM)方式とは

熱溶解積層(FDM:Fused Deposition Modeling)方式とは、熱可塑性樹脂などの材料を加熱して溶かし、ノズルから押し出しながら一層ずつ積み重ねて立体を造形していく3Dプリンターの出力方式です。

ABSPLAなどの一般的な汎用樹脂にとどまらず、PEKKなどのスーパーエンプラまで、実用性の高い幅広い材質をそのまま造形できることが最大のメリットです。主に治具の製作、機能評価用のプロトタイプ、最終製品の少量生産などで広く活用されています。

樹脂FDM方式の特徴と設計時の注意点

FDM方式を採用する際、メリットだけでなく特有の限界・デメリットを正しく理解し、設計に落とし込むことが重要です。

精度と強度の課題

FDM方式は溶かした糸状の樹脂を積み重ねるという物理的な構造上、いくつかの技術的課題を抱えています。

課題項目

詳細・メカニズム

設計時の対策・代替案

微小形状の限界

X・Y方向の最小解像度はノズル径に依存する。溶けた材料が膨れるため、極小のコーナーRや薄肉(例: 0.02mm等の微細形状)の造形は不得意。

微細なディテールが必要な場合は、レーザーを用いる光造形方式や粉末焼結方式または切削・研削への工法転換を検討する。

Z軸方向の強度低下

積層境界面が冷えて固まる際に十分な分子結合が得られにくく、積層方向(Z軸)に引っ張り応力がかかると割れやすい。

強度が求められる方向に対して、積層ピッチや造形姿勢(Z軸の向き)を最適化する。または切削加工への変更を検討する。

表面粗さ(段差)

積層ピッチに応じた階段状の段差(積層痕)が表面に残りやすく、面粗度が粗くなる。

摺動部や高い面精度が必要な箇所は、造形後に二次加工(切削や研磨など)を行う前提で設計する。

金属の熱溶解積層(FDM)方式

金属部品の製造においてもFDM方式が利用可能です。金属切削では困難な中空構造や、試作リードタイムの短縮に効果的です。

金属FDMの製造プロセス

金属FDM方式は、金属粉末と熱可塑性樹脂(バインダー)を混合したフィラメントを材料とします。造形工程は以下の3ステップで構成されます。

工程

概要

状態・注意点

1. 造形(プリント)

樹脂FDMと同様に、材料をノズルから押し出して積層する。

この時点ではグリーンパーツと呼ばれ、金属粉と樹脂が混ざった脆い状態。

2. 脱脂(デバインディング)

専用の脱脂装置を使用し、結合材であるバインダー(樹脂)を抽出・除去する。

バインダーが抜けたブラウンパーツとなる。

3. 焼結(シンタリング)

焼結炉で金属の融点直下の高温で焼き固め、金属粒子同士を結合させる。

最終的な金属部品が完成する。表面はザラザラした質感になる。

焼結時の収縮と表面処理を前提とした設計

金属FDM方式では、脱脂・焼結の工程においてバインダーが消失し金属粉末が結合するため、造形時から約20%程度(※)の体積収縮が発生します。

また、焼結後の表面は鋳物のようにザラザラとした質感になるため、寸法公差の厳しい勘合部や平滑性が求められる面には、ショットブラスト処理やマシニングセンタによる後加工を前提とした設計を推奨します。

※収縮率20%は一般的な目安です。実際の収縮率は、選択する金属材質、部品の形状(肉厚や中空具合)、積層方向などの条件により複雑に変動します。寸法精度が厳しく要求される部品においては、事前にテスト造形を行い、収縮率をフィードバックした上で3Dモデルをオーバーサイズで設計する必要があります。


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熱溶解積層(FDM)方式とは

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、アルミ・樹脂から難削材まで200種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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