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実験治具のアルミ切削をOnyx3Dプリント製作へ変更して納期短縮

実験治具のアルミ切削をOnyx3Dプリント製作へ変更して納期短縮

最終更新日:2026/8/4

アルミ切削による治具調達の課題

工学系の実験治具や検査器具の製作において、軽量かつ比較的安価なアルミニウム合金(A5052など)の切削加工が選定されるケースは多々あります。

しかし、設計・開発の現場では試作品の検証と改良を素早く繰り返すことが求められます。マシニングセンタ等による切削加工の場合、段取り替えや加工プログラム(CAM)の作成工数がかかるため、繁忙期には調達納期が数週間に及ぶこともあり、これが開発サイクルを停滞させる大きなボトルネックとなっていました。

アルミ切削からOnyx 3Dプリントへの代替

YUMO PARTS(ユモパーツ)では、用途と材質選定の背景をヒアリングした上で、切削加工と並行して高強度3Dプリント材質Onyxへの代替をご提案しました。本事例の概要は以下の通りです。

項目

従来の工法(Before)

提案工法(After)

加工法

切削加工(マシニングセンタ)

3Dプリント(FDM方式)

材質

アルミニウム合金(A5052)

Onyx(PAベース+連続炭素繊維)

調達納期

1週間 〜 数週間

3日

提案効果

-

研究期間を当初の想定から1ヶ月短縮

Onyxとは、PA(ポリアミド)をベースにマイクロカーボンファイバーを配合した高機能な3Dプリント用樹脂です。単体でも優れた強度と耐薬品性を持ちますが、造形時に連続炭素繊維を充填することで、アルミ合金に匹敵する強度を実現することが可能です。

アルミ合金とOnyxの比較

設計変更を検討する上で重要な、アルミ合金とOnyxの特性比較は以下の通りです。

比較項目

アルミニウム合金(A5052)

Onyx + 連続炭素繊維

主な加工法

切削加工(マシニング等)

3Dプリンター出力(FDM/FFF方式)

引張強度

約 195 MPa

約 700〜800 MPa(※繊維方向)

比重

約 2.7

約 1.4(※アルミの約半分と軽量)

熱変形温度(HDT)

数百℃

約 145℃

面粗度(表面状態)

良好(Ra 1.6〜6.3等指定可)

粗い(積層痕が残る)

調達納期(目安)

1週間 〜 数週間

最短 1日 〜 3日

上記Onyxの物性値は、連続炭素繊維を適切な割合で充填し、繊維方向に力が加わった場合の一般的な一例です。3Dプリンター特有の「異方性(積層方向であるZ軸に対する強度の低下)」があるため、造形方向や繊維の充填量、積層ピッチ等の諸条件によって実際の強度は大きく変動します。

3Dプリントへ代替する際のデメリットと設計のポイント

積層方向による強度の異方性

FDM方式で造形された部品は、層と層の接着面(Z軸方向)に負荷がかかると割れやすくなります。

【対策】 治具に加わる応力方向を事前に解析(または想定)し、最も負荷のかかる方向に対して連続炭素繊維が直交するように、造形時の配置方向(オリエンテーション)を最適化する必要があります。

表面粗さ(積層痕)と公差精度の限界

切削加工のようになめらかな面粗度(Ra)や、100分の1ミリ単位の厳しい寸法公差を出すことは困難です。

【対策】 滑りが必要なガイド部や、厳密なはめ合い精度が要求される箇所のみ、造形後にリーマ通しやフライス加工による二次加工を行うハイブリッド製法が有効です。また、ネジ切りが必要な箇所には熱圧入式のインサートナットを活用することで、十分な締結強度を確保できます。

吸水性と耐熱性による環境制限

PAベースであるOnyxは吸水性があり、高湿環境下では微小な寸法変化や物性低下が起こる可能性があります。また、熱変形温度は約145℃のため、高温環境下の治具には適しません。

【対策】 150℃を超える環境や恒常的に水に触れる用途の場合は、代替を避け、従来のアルミ切削や、耐熱・耐薬品性に優れた別素材(PEEK材の切削など)を選択するのが安全なアプローチです。

提案の結果

今回の実験治具のケースでは、切削加工では納期が1週間かかるところ、3日でご提案ができました。必要な強度を満たし、短納期で製作できることからこの提案が採用されました。研究期間を当初の想定から1ヶ月短縮できたと伺っております。


材質・加工方法変更による短納期試作のご相談はユモパーツへお任せください

試作における納期とコストの課題は、材質や加工方法を柔軟に見直すことで大きく改善できる場合があります。YUMO PARTS(ユモパーツ)では、今回ご紹介したOnyxをはじめとする高機能樹脂の3Dプリントから、アルミ合金などの精密切削加工まで、要求される精度・強度・納期に合わせて最適な解決策をご提案いたします。

「この部品は3Dプリントへ代替可能か?」「精度が必要な部分だけ切削で追加工できるか?」など、設計・開発段階でのお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

実験治具のアルミ切削をOnyx3Dプリント製作へ変更して納期短縮

事業内容

執筆者:湯本電機株式会社

金属・樹脂の切削加工と3Dプリントを軸に、試作・開発段階の部品加工に特化したエンジニアリングパートナー。年間76,738枚を超える図面見積実績に基づき、アルミ・樹脂から難削材まで200種類以上の材質に対応。単なる受託加工に留まらず、蓄積された膨大な加工データを背景とした「コストダウン提案」や「加工法最適化」に強みを持つ。

最短2時間の高速見積もり回答体制を敷き、大手メーカーの設計・開発部門から、学生フォーミュラ・ロボコン等の次世代エンジニアまで、難易度の高いものづくりを技術面からバックアップしている。

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