PP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)の違い
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本記事の要点
PP(ポリプロピレン)は耐熱性と機械的強度に優れ、PE(ポリエチレン)は耐衝撃性・耐寒性・寸法安定性に優れた汎用プラスチックである。
両者とも比重が1以下と軽量で耐薬品性に優れる一方、素材の柔らかさに起因するクランプ時の歪みやバリが発生しやすく、切削加工における厳密な寸法公差の要求には注意が必要である。
材質選定においては、連続使用温度や耐候性の差異を正確に把握し、部品の使用環境と要求精度に応じた使い分けが不可欠である。
PP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)は、共に炭素と水素から構成される代表的な汎用プラスチックです。本記事では機械設計や部品開発に向けた、これら2つの素材の違いと切削加工を前提とした材質選定のポイントを解説します。
PPとPEの物性値と特徴比較
設計において重要となる主な物性値と特徴の比較を以下の表にまとめました。
比較項目 | PP(ポリプロピレン) | PE(ポリエチレン) |
|---|---|---|
比重 | 0.90 | 0.95 |
連続使用温度 | 約100℃ | 約80℃ |
荷重たわみ温度(1.82Mpa) | 約73℃ | 約43-54℃ |
曲げ強さ | 40Mpa | 28Mpa |
アイゾット衝撃強さ | やや劣る(低温で脆化リスク) | 極めて優れている |
耐候性 | 低い(紫外線で劣化しやすい) | 低い(紫外線で劣化しやすい) |
吸水率(23℃水中24時間浸漬) | 0.01%未満 | 0.01%未満 |
外観色 | 半透明〜白色 | 白色 |
※上記の数値は一般的なグレードにおける代表的な物性値の一例です。実際の数値はメーカー、グレード、成形方法、積層方向などの条件により変動します。過酷な環境下での使用を想定した設計・材質選定にあたっては、必ず採用予定メーカーの最新版物性表をご確認ください。
PPとPEの共通点
炭素と水素からなる高分子
成形性が良く、安価に大量生産できる
荷重たわみ温度が低いため高温高圧環境下の使用には向かない
自燃性の指定可燃物であり、良く燃える。
共に比重が1以下で水に浮く軽量材質
絶縁体で低誘電率
吸水性が低く、湿度による寸法変化が起きにくい
PP(ポリプロピレン)の特徴と切削加工時の注意点
PEと比較したメリット
PPはPEと比較して、耐熱性と機械的強度(硬さ・曲げ剛性)に優れています。表面に傷がつきにくく、繰り返しの曲げに対する強い耐性を持つのが特徴です。
設計上の課題
PPは汎用樹脂の中では比較的硬さがあるものの、エンジニアリングプラスチックと比較すると柔らかい素材に分類されます。切削加工時には刃物の熱による溶着やバリの発生が起きやすいという課題があります。また、加工機のバイスでクランプする際に応力で歪みが生じやすく、加工後に元に戻ることで寸法がズレるリスクがあります。厳しい幾何公差や寸法公差を要求する設計は、加工難易度を跳ね上げコスト増に直結します。設計時は、必要な箇所にのみ公差を指定し、クランプに耐えられるよう肉厚を十分に確保するなどの工夫が必要です。
PE(ポリエチレン)の特徴と切削加工時の注意点
PPと比較したメリット
PEはPPと比較して、耐衝撃性、耐寒性、耐候性に優れています。低温環境下でも脆化(脆くなること)しにくく、屋外での使用や物理的な衝撃が加わる摺動部品などに適しています。
設計上の課題
PEはPP以上に柔軟性が高く粘り気があるため、切削加工時に刃物の逃げや、切り粉の巻き付きが頻発します。これにより、面粗度を綺麗に仕上げるのが困難になります。外観部品としてツヤのある綺麗な面を求める場合や、ミクロン単位の精密な公差を求める部品には不向きです。耐摩耗性や滑り性を維持しつつ、高い加工精度や綺麗な仕上がりを求める場合は、UHMW-PEやPOMへの材質変更を検討することをおすすめします。
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